――JINSの主力製品である「Air frame」に、新しく「Made in Japan」をうたう「Air frame α」が登場しました。日本の工場で作るからこそ、日本人好みの発色や形状が微細なレベルで追求できるとのことですが、これ以外にも「日本の雇用を創出するのだ」という思いが感じられます。
田中 外部の人がJINSを語るときに、よくいわれるのが「JINSみたいなメガネ屋ができたことで、仕事が国内からなくなった。鯖江も衰退する」というもの。これは何もメガネ屋に限らない話で、自動車も電機もどんどん海外に出ていってしまっている。
ただ、Made in Japanを始めるときに「メガネに対してこだわりを持つ鯖江では、JINSが求める新しいメガネはできないだろうな」と思っていました。そこで多くが海外に移転していった、メガネとはまったく関係のない業界の工場に注目したのです。ここでは設備、そして優秀な人材を余剰として抱えているわけです。これを活用できないかなということで、メガネを作っていなかった工場でチャレンジしたのです。
――まったくの異業種への転換というのは工場にとっても大きな挑戦ではないのですか?
田中 まさに大きな転換です。仮にほかのメガネ屋さんが「JINSがうまくやったようだ、うちでも」となっても、うまくいかないのではないでしょうか。当社は中国や韓国での製造から国内での販売までを一貫してやっています。この経験があるからこそ、製造工場まで入り込んでいけたんだと思っています。
また、工場側でも設備投資が必要になります。その投資に見合うだけの販売力を確保できるかどうかも重要になります。JINSは今期500万本近くのメガネを売ります。このくらいの規模になれば、工場側としても採算ベースにのってくると思います。
――500万本という数字がでましたが、中でもECの売上が伸びているようですね。その背景は?
田中 前期にはECだけで7億7000万円の売上がありました。今期の目標は12億円です。これは圧倒的国内ナンバー1ではないでしょうか。アニメとのコラボメガネも大きいのですが、度付きメガネをECで購入される人が増えてきました。JINS PCが引き鉄になったことは間違いありません。
――このインタビューを通じて、JINSは変化を恐れない会社というイメージを受けます。
田中 当社のバリューというか、従業員の目指す姿は「創造、挑戦、変化」なんです。もしかしたら、今では「変化、挑戦、創造」になっているかもしれませんね(笑)。
――例えば、「1つのショッピングセンターにメガネ屋は1つ」という状況を変えようとしている。
田中 昔からの商慣習ですね。かつてのメガネ屋というのは、ある意味でお医者さんのようなものでした。だから差別化は必要なかった。でも今日のメガネはライフスタイル商材になり始めています。メガネ屋もだんだんセレクトショップ的になっていくでしょう。そうなれば、飲食店やアパレルのように1つのショッピングセンターに複数のメガネ屋が出店していてもおかしくないはずです。
――JINS PCの自動販売機も話題になりました。このほかにも大型のロードサイド店も出店予定です。あちらこちらでJINSの名前を見かけるようになりますね。
田中 そうなったときに大切なのは、お客さんに飽きられないようにするということでしょう。やはり他社にないものを開発したい。毎年、JINS PCのようにライフスタイルを変えていくメガネを何かしら出し続けていきます。
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