――イノベーションの源泉はどこにあるのですか?
田中 それは当社のビジョン、志である「あたらしい、あたりまえを。」を作ることです。そしてそれを世の中に定着させていきたいのです。「儲かるから安く、たくさん売る」という仕事はしたくない。
海外にいくと日本のプレゼンス(存在感)がどんどん落ちているのを感じます。例えば、この間、ドイツのフランクフルトにいったときのことです。免税手続きの書類に、英語、フランス語、中国語、韓国語のものが用意されている。日本語はないんです。韓国よりも日本の存在感がないんですよね。
これは日本の経済力が弱いからでしょうね。グローバルで通用するブランドがどんどんなくなっている。まだJINSは国内の足場を固めている段階ですが、いずれグローバルで通用するブランドになりたいと思ってます。
――例えば、ユニクロのような世界進出を?
田中 確かにユニクロは素晴らしいブランドだと思います。でも、もっと大きなインパクトを持って世界に打って出たいですね。
――ユニクロの柳井正会長兼社長を超えたい?
田中 超えたいということよりも、アパレルではなくメガネだからこそ、できることがあると思います。イノベーションが起きていない業界ということもありますが、欧米では目の悪い人を社会的弱者として社会保障制度の中で救済している。だからメガネ屋さんは安売りする必要がなく、自由競争に入っていかなかった。日本が一番進んでいると思います。
――ファッション性と機能性。メガネにおいて必要なのはどちらでしょうか?
田中 すでに、「メガネにファッション性は当り前」となっていなければいけないと思っています。そのうえで機能性を追求していくべきです。ただ、機能性アイウエアとして2011年に発売した「SPORTSシリーズ」は、機能に特化してしまってファッション性が乏しかったのは確かです。お客さまの「選ぶ楽しみ」がなかったなあと反省しています。
――「選ぶ楽しみ」はファッション性の重要なファクターですか?
田中 そうです。例えば「JINS Golf」では、芝目が読みやすくなることを理解していただけましたが、「ほかのフレームはないの?」といわれることもありました。いま思うと、デザインの完成度は低かったかもしれない。ですから、デザイン的にも機能的にも申し分のないものにバージョンアップしていこうと思っています。
――JINS PCが含まれるPROTECTシリーズも同様ですか?
田中 もちろん。PROTECTシリーズも機能性とファッション性の融合は大事にしたいですよね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング