アウディのハイパフォーマンスモデル「S Model」の実力は?試乗インプレッション(4/5 ページ)

» 2012年10月03日 12時29分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

S8、日本の道路事情では少しもてあます、かも

 さて、今度はS8に乗り換えて、同じ試乗コースを走ってみる。乗り心地はS6 Avantとほぼ同じ感覚で、街中でも高速道路でも極めて良好。キャビン内の快適性も同様で、しかもS6 Avantと比べて一回り大きなボディに、ラグジュアリー感の強いインテリアの雰囲気も相まって、より快適度が高い。

 ただ、さすがに5145×1950ミリ(全長×全幅)の大柄ボディは、街中では少し持て余す。S6 Avantもそうだったのだが、低めの着座位置から足を前方に投げ出すスポーティなドライビングポジションを強いられるので、フロントノーズの見切りはあまり良くない。筆者は普段コンパクトカーに乗っているので、特に細い道でS8を走らせる際には、かなり気を遣わざるを得なかった。

S8S8S8 Audi S8(クリックで拡大)

 なおS8の車重は、アルミボディの効果あってか、S6 Avantとほぼ同じ2080キロ(ちなみにS6 Avantは2060キロ)。これに、S6 Avantより100馬力アップの520馬力を発生させるエンジンを積むのだから、ワンランク上の動力性能を発揮するはずだ。

 実際のところ、S8は速い。エンジンも足周りもボディも、とてつもなく速い。ただ、「では、S6 Avantと比べてどうか?」と聞かれると……正直なところ、この100馬力の差を日本の公道で体感するのは、ちょっと難しいかもしれない。サーキットやテストコースに持ち込めばこの100馬力の差は如実に表れるのだろうが、今回の試乗では「S8もS6 Avantも、とにかく速くて快適なクルマだ!」というふうになってしまう。

S8S8 (クリックで拡大)

 ただ、ボディサイズやインテリア以外の違いを敢えて探せば、高速域でのノイズが挙げられる。S8もS6 Avantもかなり静寂性が高いのだが、S8はある一定の速度を超えると、若干の風切り音がキャビン内に入ってくるのが少し気になった。逆に言えば、ワゴンボディにもかかわらず、セダンボディのS8と同レベルの静寂性を実現したS6 Avantの高い遮音性が印象に残った。

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