宇宙下着にプラチナ繊維、日本の特許技術を使った衣類がすごい

» 2012年08月31日 18時34分 公開
[Business Media 誠]

 最近、衣料品売り場で目にすることが多くなったのが、特殊な機能を持った素材を使った衣類だ。暑い夏場には吸汗速乾機能を持った衣類で少しでも涼しく過ごしたいし、寒い冬場には吸湿発熱機能をもったものが人気になる。

 例えば、綿素材の5倍以上の速度で汗を吸い取り、蒸発させることでドライで涼しくなるというインビスタの「クールマックス」素材や、湿気を吸収することで繊維自体が発熱して温かくなるというユニクロの「ヒートテック」などがこれに当たる。

 このような体温調節以外の機能を持つ素材も増えてきた。今回は、汗のニオイや加齢臭を消し去るものや、着るだけで人間の体が本来持っている自己回復能力の効果がアップする機能を持つものを紹介したい。

JAXAと共同開発した消臭機能は加齢臭も消す

 着るだけで汗の臭いや加齢臭を消臭する効果があるという「マキシフレッシュプラス」は、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する宇宙飛行士のために、JAXAとゴールドウインが共同開発した特殊な下着がベースとなっている。そのため、ゴールドウインが販売する製品群には、日本の宇宙開発から生まれた最先端のアイデアを多くの人の日常に届けるために発足した「JAXA COSMODE PROJECT」のロゴマークが付いている。

 汗の臭いはアンモニアや酢酸、イソ吉草酸などからなり、これにノネナールと呼ばれる臭気成分が混合することで加齢臭が発生するといわれる。マキシフレッシュプラスを使った衣類では、アンモニアを繊維のカルボキシル基が中和するほか、生地が酢酸やイソ吉草酸、ノネナールを消臭する(例えば、男性用V首メッシュシャツの場合、カット率はアンモニア99%、酢酸90%、イソ吉草酸96%、ノネナール76%)。

 ゴールドウインでは、2010年からマキシフレッシュプラスを使った衣類を「MXP」ブランドとして展開。Tシャツ(アンダーシャツ)やパンツといった下着のほか、カロリー燃焼インナーやピローケースをそろえる。

 また2012年3月からは、医療用包帯の布地をベースにした特許素材「HOHTAI」を開発し、「SIDO」ブランドで包帯パンツという新たな下着を手掛けるログインともコラボレーション。締め付け感がなく「まるではいていないような着心地」という包帯パンツに消臭効果を追加した。

MXPMXP (左)V首メッシュシャツは薄くて軽い(右)SIDOとのコラボアイテム「MXP×包帯パンツ」

金メダリストも着用する休養専用のスポーツウエア

 ベネクスが販売するリカバリーウエア「VENEX」は、「着るだけで人間が本来持っている自己回復力を最大限に発揮させること」を目的に、神奈川県産業振興センターや東海大学との産学公連携事業で開発されたもの。微細なコロイド状(4ナノメートル)に特殊加工したプラチナをベースに開発したPHT(プラチナ ハーモナイズド テクノロジー)を繊維に練り込んだ。

VENEX 見た目からはプラチナが練り込んであるとは思えない

 同社によれば、PHT繊維を着用すると副交感神経が優位な状態、いわゆるリラックス状態に誘導されるという。これにより、筋肉の弛緩や血管の拡張による老廃物の除去と栄養補給がスムーズになるほか、睡眠時に着用すれば睡眠の質が向上し疲労軽減につながるのだ。

 東海大学健康学部の松木秀明教授によるストレス軽減実験や、米UCLAドリュー医学大学での免疫能力の向上実験などでも効果が実証されているほか、ロンドンオリンピックのレスリングで金メダルを獲得した小原日登美選手(女子48キロ級)や米満達弘選手(フリースタイル66キロ級)、ボクシングで銅メダルを獲得した清水聡選手(バンダム級)らが所属する自衛隊体育学校所属の選手らも着用したという。

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