新しいジャンボ機、747-8Iのデビューフライトに密着秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/5 ページ)

» 2012年08月29日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

地球にやさしい新設計の主翼&エンジン

 2012年6月1日の現地時間で午前8時過ぎ、私はフランクフルト国際空港の搭乗ゲートに到着した。電光掲示板には「ワシントンD.C.行き、LH416便」と表示され、出発準備を進める真新しい747-8Iの機体がウィンドウ越しに見える。

 とにかく大きい。747-400に比べてボディは5.8メートルストレッチされた。A380よりも長い76.4メートルの全長は、世界一だ。メーカーが設定する3クラスでの標準座席数も、747-400の計416席(ファースト23、ビジネス80、エコノミー313)から計467席(ファースト24、ビジネス87、エコノミー356)へと大きく増加した。

飛行機と空と旅 747-8Iは747-400に比べてひと回り大型化。間近で見上げるとその大きさに圧倒される。

 そしてこの機体には、21世紀のテクノロジーが細部に組み込まれている。747-8Iはローコストオペレーションが可能で、排気ガスや騒音など環境への影響を最低限に抑えつつ、大量の旅客と貨物を経済的に運べる機種として開発された。新しく設計された主翼は最新中型機787のように優雅に後方へと伸び、先端には上方に流れるように折れ曲がったレイクド・ウイングチップを採用。見た目にも滑らかだ。エンジンは787と同じGE製GEnxで、787のGEnx-1B型よりもファンブレードの直径をやや小型にした最大推力6万6500ポンドのGEnx-2B型を装備している。エンジンナセルのテールとエンジン本体の排気ノズルのテール部分は排気音軽減のため波形のシェブロン構造にした。

飛行機と空と旅 GEnx-2B型エンジン。排気音軽減のためナセルのテール部分などを波形シェブロン構造に

 こうした新設計の主翼構造や高効率・高性能エンジンの搭載により、747-8Iは747-400と比べて乗客一人あたりの燃料消費とCO2排出をそれぞれ15%削減したほか、騒音の30%軽減にも成功した。

飛行機と空と旅 747-8Iのコクピット
飛行機と空と旅 デビューフライトを担当したエルマー・ボイエ機長

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