私は総2階建てのエアバスA380で運航するルフトハンザのLH711便で成田からフランクフルトへ飛んだ。5月下旬のことである。途中、上空でキャプテンがキャビンに顔を出してくれた。747-8Iのデビューフライト取材のため私が同便で現地に向かうと、本社から連絡を受けていたらしい。
お互いの挨拶のあと、5分ほど話した。この20年間、彼は「機長としてのチャレンジ」を続けてきたと言う。初期タイプのジャンボ機747-200の操縦資格の取得に始まり、その後はハイテクジャンボと呼ばれた747-400の資格を、そして世界最大の旅客機である現在のエアバスA380を──と。
「こうしてA380での乗務を始めたことで、私は機長としての目標を達成したと思っていました」と、キャプテンは言った。「ですが、最近考えるんですよ。じつはもう一つ、やり残したことがあったんじゃないかって」
キャプテンはどうも、これから飛び始める747-8Iを思い浮かべているようだった。もちろん、現時点でA380の機長として“頂点”に立っている彼が、その職を手放してさらに新しい機種にチャレンジするなどということはあり得ない。だからこそ、未練も感じているのだろう。ジャンボジェットの集大成である747-8Iは、間違いなく完成度の高い旅客機だ。「フランクフルトからワシントンD.C.へのフライトを、どうぞ心ゆくまで楽しんできてください」とキャプテンに言葉をかけられ、私は間近に迫ったデビューフライトへの搭乗がますます楽しみになった。
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