新型「オーリス」は欧州の競合車種を徹底ベンチマーク(1/2 ページ)

» 2012年08月27日 12時51分 公開
[朴尚洙,@IT MONOist]
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 トヨタ自動車が、2012年8月20日に日本市場での販売を開始した新型「オーリス」。フロントフェイスに採用した「キーンルック」をはじめ、従来モデルと比べて大幅な意匠設計の変更が施されている。

AURIS オーリス

 その一方で、操縦性や走行安定性といった走行性能を向上したことも特徴の1つとなっている。これは、既存モデルの累計出荷台数のうち約70%を占める欧州市場で競合するフォルクスワーゲンの「ゴルフ」やフォードの「フォーカス」といったCセグメントハッチバックに対抗するためだ。「試作車を実際に欧州に持ち込み、アウトバーンをはじめとする公道を使って競合車種との乗り比べを徹底的に行った」(トヨタ自動車 製品企画本部 主査の末沢泰謙氏)という。

 走行性能の向上は、低重心化やボディ剛性の向上、サスペンションと電動パワーステアリング(EPS)の改良が中心となっている。

 新型オーリスは、既存モデルと同じ「新MCプラットフォーム」がベースとなっているものの、アッパーボディは全面的に設計を変更している。車両の外形寸法は、4275×1760×1460ミリ(全長×全幅×全高、4WDは1480ミリ)で、既存モデルと比べて全長を30ミリ伸ばして、全高を55ミリ減らすことで低重心化を図った。空力特性も向上しており、Cd値は従来比で0.01少ない0.28となっている。全高が55ミリ減ったものの、着座位置を40ミリ下げるとともに、インテリアの造形に広がりを持たせて、室内空間の開放感を損なわないようにした。

AURIS 新型「オーリス」の走行性能。従来モデルはもちろん、欧州の競合車種(フォルクスワーゲンの「ゴルフ」とみられる)も上回っている(出典:トヨタ自動車、画像をクリックすると拡大します)

 走行時の運動性能の基本となるボディねじり剛性については、バックドアの開口部を補強するなどして従来比で10%向上した。ボディねじり剛性の向上により、振動が抑制された高い乗り心地を実現している。

 エンジン排気量が1.8リッターモデルについては、リヤサスペンションをダブルウィッシュボーン式にして、後輪側の安定性を高めた。さらに、EPSにブラシレスモーターを採用するとともに、ギヤ比をクイックに設定することで、ステアリング操作に対する応答性を向上している。「ゴルフの現行モデルと比べて、ステアリング操作の応答性では明確な優位性を確認できた」(車両試験の担当者)という。

 新型オーリスのパワートレインは、イメージリーダーとして設定した「RSグレード」に採用した6速MTを除いて、2012年5月に発表した新型「カローラ」と同じものを採用している。エンジンは、排気量1.5リッターの「1NZ-FE」もしくは同1.8リッターの「2ZR-FAE」で、RSグレードの6速MT以外のトランスミッションは「Super CVT-i」となっている。

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