5ドア化で家族向けに変身? 「Audi A1 Sportback」を試す試乗インプレッション(2/3 ページ)

» 2012年08月09日 14時41分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

高い質感とカジュアルさが同居するインテリア

 実際にドライバーズシートに座ると、真っ先に感じるのがインテリアの独特な演出感だ。アウディならではの高い質感は上級グレード譲りだが、円形を基調にしたデザインを随所に配置し、同時にカジュアルな印象も受ける。特に丸く張り出したエアコン吹き出し口のデザインが独特で、これは飛行機のジェットエンジンの吸入口をモチーフにしたものだという。

Audi A1 Sportback ジェット機のエンジンをモチーフにしたエアコン吹き出し口などAudi A1ゆずりのインテリア(画像をクリックすると拡大します)

 また、個人的に非常に好感を持ったのがシートのサイズだ。輸入車のシートは大柄な欧米人の体格を想定しているせいか、日本人の体格には大きすぎることが多い。しかし今回試乗したクルマにはスポーツシートが装着されており、サイズもやや小さめに作られているのだろうか、実にぴったりと体をホールドしてくれる。「平均的なドイツ人にとっては、少し小さすぎやしないだろうか?」。そんな心配までしたくなるが、とにかく日本人にとってはありがたい仕様だ。

 また細かいところだが、左足のフットレストが設けられているのも個人的にはありがたい。多くの輸入車の右ハンドル仕様は足元の左側スペースが狭く、左足の置き場に困ることが多い。その点Audi A1 Sportbackはコンパクトモデルながら、何とかフットレストがぎりぎり設けられるほどのスペースを確保している。

扱いやすいトルク特性がもたらすスムーズな加速感

 なお、パワートレインや装備などの仕様は3ドアモデルとまったく同じだ。搭載するエンジンは、直噴システムとインタークーラー付ターボチャージャーを備えた1.4リッター直列4気筒DOHCエンジン。最高出力90キロワット(122馬力)/5000rpm、最大トルク200ニュートンメートル/1500〜4000rpmを発生する。近年の欧州車の主流である「ダウンサイジング」コンセプトに則ったエンジンで、実用域でのトルクと燃費効率を重視した仕様となっている。

 今回の試乗コースは比較的空いた一般道がメインだったのだが、走り始めてすぐに、このエンジンの扱いやすさに強い印象を受けた。低回転域からターボを効かせてトルクを発生させるダウンサイジング型エンジンの中には、「一般道では少し過剰かな」と思わせるほどの大トルクを発生させるものもある。もちろんこれはこれで、爽快な加速感を楽しむことができるのだが、Audi A1 Sportbackの乗り味は少し違う。エンジンのカタログスペック上は、1500回転で早くも最大トルクを発生させるとあるものの、実際に乗った印象では徐々にゆるやかにトルクが盛り上がっていく感覚だ。

 だからといって加速が「タルい」というわけでもない。アクセルペダルを一気に床まで踏み込めば、かなり力強い加速を見せてくれる。特に、エンジンの回転数が2500回転を過ぎた辺りからは、かなりのトルク感を感じさせてくれる。

 この辺りの感覚は電子制御によるチューニングがなせる業なのか、それとも搭載されているトランスミッション「7速Sトロニック」のギア比の設定の故なのか。いずれにせよ、アクセル操作に対して自然に加速していってくれるので、特に市街地走行の際にはストレスなくスムーズにドライブできるのではないだろうか。

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