連載
» 2012年05月22日 08時00分 UPDATE

ジテツウは楽しい!:社会のみんなががんばらなきゃ――ジテツウを国民運動に! (1/2)

連載最終回は、自転車社会を実現するための3つの提案をしたい。自転車は人にも社会にも地球にもやさしい。さあ、ペダルを踏みだそう。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 「ジテツウ(自転車通勤)を楽しく!」とはいうものの、ジテツウにはムリもある。

「ジテツウしたいけど危ないし」

「走る道がないんだよね」

「会社も積極的じゃないし、近くに駐輪場所もないし」

「キモチいいのは分かってるけど……」

 全国で1日平均400件も発生する自転車事故のウラには、その何倍ものヒヤリハットがある。車道は狭いし路上駐車もある。逆走や無灯火の危険な自転車乗りもいる。会社の理解が得られにくいとか、天候次第なこともある。日本でジテツウはムリがあるのだろうか?

 クルマの方がよっぽどムリをしている。

 排気ガスによる大気汚染や温暖化、道路建設で環境を破壊してきた。低成長時代には道路維持費も負担である。事故も大規模になる。座るだけで運動不足にもなりがち。自動車利用の便利の代償は大きい。まして1人乗りで通勤のアシに使うのはムリがあり過ぎる。

 ジテツウのムリをムリじゃなくすと、地球環境にも人命にも国の財政にも良いことづくめだ。これまで「自転車関連の法規」「先進企業のジテツウ制度」「電動アシストでジテツウ」そして「先進用品の紹介」をテーマに書いてきた本連載の締めくくりは、ジテツウを広める“オピニオン”である。ポイントは3つある。

  • 街と街を結ぶ「ジテツウ・ネットワーク」を整備しよう
  • インフラ整備が進めば新市場「ジテツウ・マーケット」が生まれる
  • ジテツウを国民運動にする「ジテツウ・エコポイント」

 まずは「道」から。先日も登校児童を巻き込んだ傷ましい交通事故があった。

ジテツウ・ネットワークで町をつなごう

 京都市亀岡で集団登校中の児童の列に軽乗用車が突入した事件は、無免許や暴走が直接原因。だが背景には「自動車が走る道・走らない道」のあいまいさがある。

 筆者の住んでいる都心郊外の街は、国道からクルマが流入がしにくく、幹線道路に出るまで迂回をしないとならない。それは、街の目抜き通り沿いにあるマンションの住民が、その道を幹線道路へ貫通させるのに反対したからだ。

 彼らは交通量の増加によって騒音や事故が増えるからだという。しかし、その結果、住宅街をクルマが抜け道として走り、事故が増え、小さな交差点にも信号が設置され、もっと多くの住民が騒音に悩まされることになった。

ジテツウ 看板の下に「けやき通りの貫通に反対する会」が塗りつぶされているのが見える

 議員を動かして合理性のある道づくりに反対する住民エゴは、筆者の街だけじゃない。大局観のない道づくりで住みにくくなる。

 そもそも日本の道は融通がききすぎて、どこでもどっちにも走れるのがよくない。自動車や自転車をどの道を走らせるか、ブロック単位・町単位で決めるべきである。目抜き通りを広くする一方、住宅街や商店街には行き止まりや一方通行を増やし、クルマの通行は住民のものと緊急車両、宅配便車両くらいにする。この考えは商業地やオフィス街でも適用できるはずだ。

 すぐにはできない? いや、すでに実現に向かって動く市もある。新潟県見附市では「歩こう条例」を施行し、クルマ社会から脱して徒歩や自転車への転換を進める。街の東西(見附市図書館〜イングリッシュガーデンの3.3キロ)と南北(市民交流センター〜南本町)に貫通する道に、自転車レーンを集中整備した。

ジテツウ (出典:新潟県見附市)

 こんな道を各タウンがつくり、街から街へとつなげてゆく。やがて市単位、県単位でジテツウ・ネットワークができる。過去半世紀続いたクルマ優先の目線ではなく、歩行者も自転車も「全員優先」の目線で道路を造り直していこう。

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