雨で波乱の第2戦「富士」、初音ミク BMWがGT300クラスを制すSUPER GT 2012(1/4 ページ)

» 2012年05月21日 08時00分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]

 2012年5月4日、国内レースで人気の高いAUTOBACS SUPER GTシリーズの第2戦「FUJI GT 500KM RACE」が富士スピードウェイ(静岡県)で行われた。

 スタート直後とゴール直前に降った雨による波乱のレースは、GT500クラスで39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)、GT300クラスで0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)がともに逆転で優勝した。

タイヤ選択が命運を分ける――レクサス39号車が優勝

 110周、500キロで争われる決勝は、スタートとほぼ同時に雨が降り出す波乱の展開となった。天候の急変にともないセーフティーカー先導によるスタート方式を採用。路面を濡らすほどの雨ではなかったが、36号車 PETRONAS TOM'S SC430の中嶋選手が1周目で隊列を離れピットイン、レインタイヤに交換して最後尾から追い上げるギャンブルに出た。

SUPERGT GT500クラスで優勝した39号車 DENSO KOBELCO SC430(画像をクリックすると拡大します)

 セーフティーカー先導による2周目に雨が強くなり、ほとんどのチームがピットイン。スリックタイヤで走行を続けたのは8号車 ARTA HSV-010のファーマン選手だけとなり、そのすぐ後方に1周目にピットインした36号車 PETRONAS TOM'S SC430の中嶋選手がつけ、4周目にレースはスタートした。

 8号車 ARTA HSV-010のファーマン選手は濡れた路面でペースが上がらず、わずか1周で最後尾まで後退、スリックタイヤのまま天候の回復にかけたが、序盤にクラッシュしリタイヤとなった。1周目でレインタイヤに交換した36号車 PETRONAS TOM'S SC430の中嶋選手のギャンブルは成功し序盤はトップを快走した。

 天候はすぐに回復し、10周ほどで路面は乾き始めた。いち早くピットインしスリックタイヤに戻したのは39号車 DENSO KOBELCO SC430の石浦選手。早めのタイヤ交換が成功し、全車がスリックタイヤに交換したときにはトップに立っていた。

 突然の雨で各チームのピット戦略に差が出たため、中盤はピットインのタイミングによりトップが入れ替わった。レース終盤にトップに立ったのはピット回数を減らした12号車 カルソニックIMPUL GT-Rのオリベイラ選手。2位もピット回数を減らした100号車 RAYBRIG HSV-010の伊沢選手。3位の39号車 DENSO KOBELCO SC430の石浦選手、4位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rの本山選手、5位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430の中嶋選手は1回多くピットインを行って、より摩耗の少ないタイヤでレース終盤の追い上げを狙った。

SUPERGT 23号車 MOTUL AUTECH GT-R(画像をクリックすると拡大します)

 残り20周、再び雨が降り出した。残り10周になると雨足は強くなりトップの12号車 カルソニックIMPUL GT-Rのオリベイラ選手はGT300クラスのマシンにも抜かれるほどペースダウン。残り8周でピットインしレインタイヤに交換、コースに復帰すると4位まで順位を落とした。

 トップに立った100号車 RAYBRIG HSV-010の伊沢選手もラップタイムを大きく落としたがスリックタイヤのまま走りきる作戦。その後方から39号車 DENSO KOBELCO SC430の石浦選手が一気に差を縮め、残り5周で逆転しトップの座を奪回した。

SUPERGT 100号車 RAYBRIG HSV-010(画像をクリックすると拡大します)

 レインタイヤに交換した12号車 カルソニックIMPUL GT-Rのオリベイラ選手はコースに復帰すると上位陣の中でトップタイムを出すが、すぐに雨が止みペースダウン。5位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430の中嶋選手にも抜かれレインタイヤの選択は失敗に終わった。

 39号車 DENSO KOBELCO SC430の石浦選手はそのままトップを守り優勝。100号車 RAYBRIG HSV-010の伊沢選手はスリックタイヤのまま我慢の走りで2戦連続の2位。23号車 MOTUL AUTECH GT-Rの本山選手が3位でゴールした。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.