EVのソーシャルデザイン革命、日産リーフ×坂本龍一さんインタビュー

» 2012年04月10日 12時58分 公開
[東ミチヨ,エキサイトイズム]
エキサイトイズム

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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 電気自動車は地球とクルマ社会の未来をどう変える? 日産リーフのオーナー向けイベントに、坂本龍一さん、村上龍さんが登壇。EV社会の今後を語り合った。またエキサイトイズムでは、坂本龍一さんにEVが社会にもたらすデザイン革命についてもインタビュー。

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 先日、グランパシフィック LE DAIBAで開かれた日産リーフ初のオーナー向けイベント「Nissan LEAF the new owner's meeting 2012」。会場には日産リーフオーナー150名が集い、坂本龍一さん×村上龍さん×日産自動車 渡部英朗さんのトークセッションに耳を傾けた。

坂本: リーフに乗ってみて感じたのは、とにかく軽い、走りがスムーズということですね。また重心が低く設計されているので、軽いのに安定しているのも魅力でした

村上: あの滑らかさは、ウィンドサーフィンで風に乗ってスムーズに走る感じに似ていると思いました。風が吹くと、スーっといく。あの加速の感じが似ていますね

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 自身もリーフオーナーであるという坂本さん、村上さんは乗り心地の魅力を語り合った。そして両者が期待するのは、“リーフ to ホーム”という仕組みだ。リーフのバッテリーは、今後、家庭の蓄電池としても活用できるようになる予定で、そうなると家庭で作った電力を貯めたり、必要なときに供給したりできるようになる。

村上: わが家は太陽光発電を行っていますが、リーフ to ホームが可能になれば、自分で作った電力を、好きなときに自分で消費することができるようになりますよね

 一方、NY在住の坂本さんは、電力をロングアイランドの風力発電所から買っているという。

坂本: これからのEV社会の成熟は、電気の多様化を後押しするきっかけにもなるのでは。小さいコミュニティ、あるいは自分の家で電気を作れるようになって、それをEVのバッテリーに貯めて使ったり、災害時に役立てたり。そういう使い方が今後も進化していくでしょうね。20年くらいかかるかもしれませんけれど

村上: 今は電力の地産地消のための努力が行われていますから、もっと早いかもしれませんね。今後はEVのユーザーがそれぞれ工夫して、新しい使い方を発見し、社会を進化させていくことができるといいですね

 エキサイトイズムでは、坂本龍一さんにEVによるデザイン革命についても伺ってみた。

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──新しいビークルの登場によって、クルマのデザインは、単に外観だけでなく、社会をも変えるものになるのでは?

坂本: そうですね。EVは社会にさまざまな変化をもたらすでしょうね。私は1995年くらい、ちょうどインターネットが普及し始めたころから友人たちと言っているんですが、クルマは1台1台、ちゃんとIPアドレスを持って、その情報をお互いやりとりできるようになるべきだと思うんです。今、やっとそこに近づいた気がしますね。クルマのID化というのは、どんどん進んでいくでしょうね。クルマ1台1台というのは、まったく同じ場所に位置することはなくて、必ずいる場所が違うから、違う情報を持っているわけです。雨が降っているとか、風がどう吹いているとか。それはIPアドレスがあれば、情報発信によって共有できる。また逆に音楽や映像をダウンロードしたり、情報を取り込むこともできる。クルマのネット化、メディア化……。そこから得られることって無限にあると思うんですね。

 一方、地球の未来を考えれば、エネルギーのあり方も変わるでしょう。コンピューターはかつてIBMの巨大なものから、マッキントッシュのようなパーソナルなものに変化しました。そう、スティーブ・ジョブスは革命家ですよね。情報も個人から得られるようにしました。エネルギーも、原発やダムなどの巨大なものから送電線を通じて大量の人々が消費するという20世紀的なあり方は、今後変わっていくだろうな、と。もっと個人で作るものに、パーソナルなものへと変わっていくかもしれませんね

──そのような変化は、音楽にも影響を与えますか?

坂本: いえ、まったく影響ありません(笑) エネルギーというのは、インフラストラクチャーですから、コンピューターやシンセサイザーが、何のエネルギーで動くかというのは、どうでもいいことです。ただ人間として生きるということにおいては、大きなことですけれど



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