そのことについて当時、私も真面目に議論したわけではない。これは単なる話題づくりではないか? そんな思いもあったからだ。ライアンエアーお得意の広告戦略(話題づくり)の一環だろう──と。
アイルランドのライアンエアーは、もともと“お騒がせ”のLCCとして知られていた。その前にも「肥満体の乗客に別料金を課す」などと言い出し、注目だけ集めてすぐに案を引っ込めるという“事件”を起こしたこともある。あの一件を考えると、立ち乗りプランもどこまで本気で言ったのか疑わしい。
それ以前には、機内トイレの有料化を打ち出したこともある。トイレを使用するのにお金を取ると聞き、私も「また冗談を!」と思ったが、これは後に本気で検討していたことが判明。ライアンエアーのコスト削減への意気込みを改めて知らされる結果になった。同社のマイケル・オリーリーCEOは「乗客が空港でトイレを済ませてくれば、機内のトイレの数を減らすことができる。余裕のでたスペースに座席を増やすことで、運賃をさらに引き下げることが可能だ」と記者に語ったという。
まあ、ここまでは「戦略としてアリかな」とも思うが、先に紹介した立ち乗り席の導入となると話は別だ。安全面に支障をきたすようなプランは、見過ごすわけにはいかない。もっとも、これが広告代わりの話題づくりだったとしたら、十分成功したことになるが。
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