“激安運賃”で注目のLCC。安全性は本当に大丈夫なのか?秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/4 ページ)

» 2012年03月30日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

“立ち乗り席”導入は可か否か?

 LCCが機内に「立ち乗り席」を導入へ! 以前、そんなニュースが新聞やテレビに流れた。2010年の夏ごろのことだ。プランを公表したのは、前回のレポートでも紹介した欧州最大手のLCCライアンエアー。さっそくマスコミ各社が飛びつき、記者たちが面白おかしく取り上げた。日本人の利用者たちに「立ち乗り席ができるのに賛成か反対か」を取材し、双方の意見を詳しく紹介していたメディアもある。

「さすがに立ち乗りはないんじゃないの?」

「いやあ、安くしてくれるなら大歓迎だよ。短い距離なら我慢できそうな気がするし」

 利用者の賛否が分かれるなかで、後者の賛成意見に同調していた新聞も目についた。私も当時、その話題であるラジオ番組に呼ばれ、きっぱりとこう言ったのを覚えている──「旅客機に立ち乗り席? そんなの、あり得ませんよ!」

飛行機と空と旅 コスト削減に向け「立ち乗りプラン」を打ち出したライアンエアーだが……

トラブル時には「着座姿勢」が基本

 ライアンエアーが打ち出した“立ち乗りプラン”は、遊園地で見る立ち乗り型のジェットコースターのようなスタイルだ。飛行時間が1時間程度の近距離便で、レバー型ベルトで肩と腰を固定するタイプの立ち乗りシートをキャビン後方の一部に設置。このシートなら1人7〜14ドル(当時のレートで600〜1200円)の格安料金で提供できると主張する。

 その年(2010年)の7月に茨城空港に就航した中国のLCC春秋航空も同様な立ち乗り席導入を考えたようだが、問題はやはり、安全基準をクリアできるかどうかだった。

 私が「あり得ない!」と一蹴したのは、日本では旅客機が非常事態で着陸する場合に、乗客が「着座した状態」で防御姿勢をとれるような座席でなければならないという安全上の決まりがあるからだ。つまり、腰掛けられるシートでなければ安全基準は満たされない。立ち乗りスタイルでは、当局の認可は得られないのである。

飛行機と空と旅 2010年7月に上海/茨城線で日本乗り入れを果たした春秋航空

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