フライブルクとバーセルの間の移動には、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn、通称DB)を使う。ドイツ鉄道の路線網は、ドイツ国内だけでなく周辺国の主要都市まで広がっており、隣国スイスのバーゼルにも直接乗り入れている。ちなみに筆者がフライブルクとバーゼルの往復で毎日利用していたのは、ICE(InterCityExpress)と呼ばれる超特急列車で、日本でいえばちょうど新幹線に当たる。
なお駅には改札口はなく、道路からそのまま直接ホームに歩いて入る。チケットはホームに設置された自動販売機で購入するが、列車内での検札も厳密に行われているわけではなさそうだ。日本の鉄道とくらべるとずいぶんユルい感じがするが、言い方を変えればそれだけ公共サービスとしての性格が強いのだろう。
フライブルクとバーゼルの間は、ICEで片道30分ほどかかる。座席は欧米人の体格に合わせてか、日本の新幹線よりゆったり目でなかなか快適だ。そして何より、車内が静か!
これは、列車の機械的な騒音が小さいとかそういう話ではなく(鉄道に疎い筆者にはこの辺りの判断はつかない)、乗客が皆一様に静かなのだ。大声を上げたり、誰彼構わず話し掛けたりするような人は誰もいない。「ドイツ人は皆、静かなんだなあ」と、そのときは思ったのだが、この印象は後に覆されることになる……。
しかし、鉄道で国境を越えるというのは、島国に住む日本人の感覚にはなかなか馴染みにくい。列車を降りたら別の国に来ているというのは、何だか妙な感覚だ。というか、正確にいうと、違う国に来たという実感すらほとんど湧かない。
かつては列車内で出国・入国審査の手続きが行われていたらしいが、現在では制度が変わってそれも行われていない。今、ヨーロッパがEUで目指そうとしているものが、ほんの一瞬だが肌で感じられたような気がした。
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