マツダ、SKYACTIV技術をすべて実装したSUV「CX-5」発売

» 2012年02月16日 17時18分 公開
[岡田大助,Business Media 誠]

 マツダは2月16日、新型クロスオーバーSUV「CX-5」を発売した。価格はガソリンエンジン搭載モデルが205万円〜241万円、ディーゼルエンジン搭載モデルが258万円〜319万円。

CX-5 CX-5(画像をクリックすると拡大します)

 CX-5は、マツダの次世代技術「SKYACTIV TECHNOLOGY」をエンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーのすべてで搭載したうえ、新デザインテーマ「魂動―SOUL of MOTION」を採用した第1弾。国内で生産し、その9割を輸出するグローバル戦略車だ。

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 搭載するエンジンは、4-2-1排気システムを初採用したガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.0」と、高価なNOX後処理装置なしでポスト新長期規制に適合したクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」。ディーゼルモデルには、アイドリングストップ機構「i-stop」をディーゼル用に新開発し、0.40秒以内の再始動を実現した。

CX-5CX-5 ガソリンエンジンはディーゼルエンジンより小振りなので、ゆとりのあるエンジンルーム。エンジン前部に4-2-1排気システムが見える(画像をクリックすると拡大します)
CX-5CX-5 SKYACTIV-Dのエンジンルーム。ガソリンエンジンより大きいうえ、大小2つのターボチャージャーも備えるので“みっちり”感がある(画像をクリックすると拡大します)

 2リッター直列4気筒DOHCのSKYACTIV-G 2.0の最高出力は114キロワット(155馬力/6000rpm)、最大トルクは196ニュートンメートル/4000rpm。また、2.2リッター直列4気筒DOHC直噴ターボのSKYACTIV-D 2.2は、129キロワット(175馬力)/4500rpm、420ニュートンメートル/2000rpmを発揮する。

 ガソリンモデルの燃費はリッター15.6キロ〜16キロ、ディーゼルエンジンは18〜18.6キロ(いずれもJC08モード)。同社によれば「国内で販売される、ハイブリッドカーを含めたSUVでトップとなる燃費性能」(2012年1月時点)となった。なお、ディーゼルモデルのグレード名「XD(クロスディー)」は、ディーゼルエンジンのトルクと、ガソリンエンジンの静粛性や軽快性を併せ持つものという意味を持つ。

マツダ CX-5のグレードと価格
グレード 駆動方式 エンジン トランスミッション 価格 JC08モード燃費
XD(クロスディー) 2WD SKYACTIV-D 2.2 SKYACTIV-DRIVE(6速AT) 258万円 リッター18.6キロ
4WD 279万円 リッター18キロ
XD L Package 2WD 298万円 リッター18.6キロ
4WD 319万円 リッター18キロ
20C 2WD SKYACTIV-G 2.0 205万円 リッター16キロ
20S 2WD 220万円 リッター16キロ
4WD 241万円 リッター15.6キロ

 CX-5では、ユーザーに「魅せる歓び」「意のままに操る歓び」「使い切る歓び」「永くつきあう歓び」を提供するべく、デザイン、ダイナミック性能、機能性、環境・安全性能にこだわりを持って開発したという。CX-5の開発主査を務めた田中英明さんは、「ちょっと家族でドライブに出かけたら、思わず遠出していたというような楽しみをCX-5の価値として提案したかった」という。

 デザイン面では、マツダの新しい顔となるはばたく翼のようなシグネチャーウィングを初採用。従来の5ポイントグリルの意匠を発展させ、その両端が左右のヘッドライト内までつながるものだ。

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 サイドビューでは前傾したノーズと後退したキャビンによってボディ全体で前傾感を強調する。また、流線型のボディラインを形づくりつつ、リアエンドへの空気の回り込みを含むリアサイドスポイラーなど、デザインと機能を併せ持つパーツを数多く装着する。

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 インテリアでは、質感の高いソフト素材を使ったインストルメントパネルを採用。パワーウインドウスイッチやセンターパネル下の収納スペースなどにサテンクローム仕上げのパーツを使い、視線を誘導する。

 さらに、SUVにありがちな左フロントの小型フェンダーミラー(サイドアンダーミラー)を装着していないのも特徴だ。CX-5では、左サイドミラー下部に155度の視野を持つカメラを設置し、映像を自動防眩ルームミラーの一部に表示する。

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 このほか、一般的なSUVよりも後方に引いたAピラーや、Aピラーとの間にスペースができるよう少し後ろに取り付けたサイドミラーなど、SUVでは死角になりやすい斜め前方視界を確保している。

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 リアシートは、4:2:4分割可倒式(20Cは6:4分割可倒式)で、左右の後席にチャイルドシートを装着していても、中央席のみを倒して長い荷物を積み込めるようにした。なお、ラゲッジスペースに設置されたレバーを操作することで、シートバックとクッションが連動して沈み込む「カラクリフォールド」を採用する。

 ラゲッジ容量はゴルフバック4個が収納できる500リットルを確保。リアシートをすべて倒せば、1620リットルまで拡大できる。さらに、リアゲートの開閉に連動するトノカバーは、ネット上になっているため室内の様子を確認しながら荷物の積み込みが可能だ。

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 ドライバーの操作面では、ハンドルを持つ位置ごとに最適な握り心地を実現する形状を突き詰めたほか、オルガン式のアクセルペダルを採用し、足首の動きとエンジン出力の増減が直感的に把握できるようにした。

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 安全装備では、レーザーセンサーを使ったプリクラッシュブレーキ「スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)」をXD L packageに標準装備(XD、20Sはメーカーセットオプション)。これは、時速4キロ〜30キロの範囲で作動し、センサーが検知する前走車との衝突の可能性がある場合にブレーキの遊びを詰めて、ドライバーのブレーキ操作に素早く対応するほか、ドライバーがブレーキ操作を行わない場合に自動ブレーキを作動させるもの。

 また、徐行(時速約10キロ以下)や停止状態で、前方に障害物が検知されているにもかかわらず、アクセルが一定以上踏み込まれた場合には「AT誤発進抑制制御」が作動。警報とメーター表示によってドライバーに注意を促すと同時に、エンジン出力を自動的に抑えて急発進を抑制する。

 同社の山内孝会長社長兼CEOは第一声で「新生マツダの象徴、社運をかけたグローバル戦略車。アクセラ、アテンザ、デミオに続く基幹車種にする」と宣言した。また、クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」の日本市場への投入については、年間販売目標数1万2000台(月販1000台)のうち50%以上を狙うとし、「勝算はあるのか?と問われるが、40年以上マツダ車を試乗してきた私が、静かさ、ねばり、圧倒的な走行性能に驚かされた。勝算ありだ」と力強く語った。

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 CX-5のボディサイズは4540×1840×1705ミリ(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2700ミリ、車両重量は1440キロ〜1620キロ。乗車定員は5人。

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