旅客機運航の舞台裏。フライトを支えるスペシャリストたちの活躍を追う秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/5 ページ)

» 2012年02月14日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

ライン整備士から機長への報告

 機長と副操縦士が到着した。彼らはさっそく、ライン整備担当の整備士から機体の状態について詳しい報告を受ける。

 日々の運航の合間に機体に異常がないかをチェックするのがライン整備の仕事だ。着陸機がスポットに止まると、担当整備士はただちにタイヤやボディ、エンジンなどの外部点検を開始。さらに担当パイロットからフライト中に気づいたことなどの報告を受け、コクピット内の計器類・スイッチ類もチェックする。

飛行機と空と旅 日々の安全運航をチームワークで支えるスタッフたち

 機体やコクピットだけではない。客室内のシートやエンターテインメントシステム、ギャレー(厨房設備)などについても、到着便に乗務していた客室乗務員から不具合の有無を聞いて対処するのも彼らの重要な役割だ。そうしてひと通りの作業を終えると、大型機の場合は1等航空整備士の資格をもつ整備責任者に報告。整備責任者のチェックを受けてOKが出れば、その機体は次のフライトの担当パイロットに引き渡されるのである。

飛行前点検は“責任感”の表れ

 機長と副操縦士はその後、手分けをしてもう一度自分たちの目による飛行前の点検を行う。この飛行前点検は、機体の外観とコクピットが中心だ。外観については、機長か副操縦士のどちらか1人が機体の周囲を時計回りに歩いてチェック。胴体や主翼、尾翼などに損傷は見られないか。エンジンやギアに異常はないか。それらを1つひとつ目で確認するのである。

 「機体はもちろん、整備士たちの手によって完璧な状態に保たれています」と機長は言う。「ですが、飛ぶ前にもう一度自分たちで確認する作業は絶対に欠かせません。これはたくさんの乗客を乗せて飛ぶパイロットとしての責任感の表れでもあります」

飛行機と空と旅 ランディングギアなどに異常がないかも機長自身が目視で確認

 その外観チェックと並行して、コクピットではもう1人のパイロットによって、計器類・スイッチ類の作動状況やマニュアルなどの搭載品に不備はないかといった最終の確認作業が進められる。そうした点検作業を終えると、機長と副操縦士は、担当の客室乗務員たちが集合している客室へと移動。そこで出発前の合同ブリーフィングが行われる。

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