空港に目を移してみると、駐機スポットではそれぞれに任務を負った専門スタッフたちが忙しく動き回っている。海外や国内の他の空港から到着した機の誘導や、貨物の積み降ろし、燃料補給、機内清掃、出発機のプッシュバック──それら旅客機がスポットに駐機中に行われる数々の作業を「グランドハンドリング」といい、担当するスタッフはクルーたちから“グラハンさん”などと呼ばれ頼りにされている存在だ。
到着機が準備を終えて再び次の国・都市へ向けて出発するまでに、スポットで作業に当たるのは総勢10名ほど。最初に動き出すのは大きな車止めを抱えたチョークマンで、旅客機が空港に降り立ち所定のスポットに到着すると、彼はタイヤに車止めを差し込んで機体を固定する。
その後、エンジンが停止するのを待って、オペレーターが機体左側前方の乗降用ドアにボーディングブリッジを接続。海外からの旅行者や帰国客が機内から続々と降り始めた。反対側(機体右側)では、別のスタッフの手で貨物室に通じるカーゴドアが開かれ、出発空港で積まれた貨物と乗客が預けた手荷物の取り降ろし作業が始まっている。
到着後、準備を整えて再び出発していくまでの“ターンアラウンド時間”は、国際線で平均2時間程度。その間に必要な作業を滞りなく終えるためには、スタッフ同士の協力が欠かせない。この便の貨物や手荷物も、スポットに着いてから20分後にはすべて機内から降ろされ、トラックでターミナルへ運ばれていった。
しかし乗客が全員降り、貨物が運ばれても、彼らに息をついている余裕はない。出発ロビーのカウンターでは、これから旅行に出る人たちのチェックイン手続きが終わっている時間だ。そこで預けられた手荷物が、出発便に積み込む貨物としてすぐにやってくる。
ターミナルの搭乗ゲートでは、出発時刻の45分から1時間前になるとその便を担当する旅客スタッフたち(通常は3〜4名)がスタンバイする。まずは特別なケアが必要な乗客がいるかどうかをチェックインカウンターからの情報で確認し、担当の客室乗務員に伝達。ゲート前で搭乗を待つ乗客には、予定している搭乗時刻について別のスタッフがマイクでアナウンスする。出発時刻が迫っても現れない乗客がいる場合には、ときには広いターミナルを端から端まで捜し回らなければならない。
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