テスラ、後席がガルウイングのEV SUV「ModelX」発表――時速96キロまで4.4秒!?

» 2012年02月10日 16時59分 公開
[岡田大助,Business Media 誠]

 米テスラモーターズは、SUVタイプの電気自動車「モデルX(ModelX)」を発表した。2013年後半に生産を開始し、納車は2014年からを予定している。青山にあるテスラモーターズのショールームで、発表イベントの様子をWeb中継で見られたので報告したい。なお、価格や詳細なスペックは未定だ。

tesla モデルX(出典:テスラモーターズ)

 ロサンゼルスにある同車のデザインスタジオで実施された発表イベントには、ジェリー・ブラウン(Jerry Brown)カリフォルニア州知事もスピーチにかけつける盛り上がりを見せた。イーロン・マスク(Elon Musk)CEOは、モデルXのお披露目に先立ち、「ホンダ オデッセイのような機能性、アウディ Q7のようなスタイリング、そしてポルシェのような動力性能。これらをあわせ持つのが『モデルX』だ」と宣言。

 同時に、チーフデザイナーの運転によって、モデルXが自走しながらステージ上に現れた。そして、次々と後席から出てくる5人の大きな男性たち。彼らはモデルXのデザイナーで、同車が7人乗りのSUVだというパフォーマンスだ。

 そして何より目を引いたのは、後席ドアが上方へ跳ね上がるガルウイング、「ファルコンウイングドア」を採用していること。ドアの形状は、90度折れ曲がってルーフも兼ねるカギ括弧のような形で、全幅からほとんどはみ出さないで開閉できるという。また跳ね上げた後の高さは、後部のハッチドアを全開にしたのとほぼ同じに収めた。

tesla (出典:テスラモーターズ)

 リア側のラゲッジからは、6人分のスーツケースなどが降ろされ、その大容量と使い勝手のよさをアピール。と、ここまでは順調だったのだが、問題はフロント側のラゲッジスペースで発生した。エンジンを搭載しないモデルXは、一般的なクルマでいうところのエンジンルームを「フランク(Frunk、Front+Trunkの造語)」と呼ぶラゲッジスペースにしているのだが、ここの安全ラッチがなかなか外れず、微妙な空気に。イーロン・マスクCEOも「これは想定外だ」と苦笑いしつつ、話を先に進めるしかなかった。

 さて、同社のセダン「モデルS(ModelS)」で得られた技術を基に製造するモデルXは、プラットフォームを共有しているようだ。プレゼンテーションで使われたCG動画で見る限り、モデルS同様、バッテリーをフロア下に敷き詰め、モーターはリアタイヤ間に設置している。

 そして、モデルXだけのオプションとして、フロント側にもモーターを搭載する「デュアルモーターAWD」を設定する。この場合、静止状態から時速96キロまで4.4秒で加速する。イーロン・マスクCEOは「モデルXはポルシェよりも速い」と誇らしげだ。気になる後続距離だが、現時点では「複数のバッテリーオプションが用意される」とするだけで、未公表だ。

tesla (出典:テスラモーターズ)

 なお、同社は2011年10月に、モデルSを含めて8万台分(同社の生産能力は年間2万台なので、向こう4年間は継続される見込み)の電池として、パナソニック製のリチウムイオン電池の採用を発表している。そのため、モデルXでも継続される可能性が高い。

 2013年下期からの生産を予告しており、日本からの予約の受付も始めるが、現時点で価格は未定。ロードスターのように1200〜1500万円ということはないだろうが、モデルSの米国価格が5万ドルからなので参考になるかもしれない。なお、2011年から販売を開始したモデルSの場合、初期ロットの5000台は左ハンドル仕様ですでに完売、右ハンドル仕様車の日本への導入は2013年からとなっている。

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