第56鉄 東陽町発亀戸行き、都電の廃線跡を歩く杉山淳一の +R Style(3/5 ページ)

» 2012年01月10日 11時11分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

ちょっと寄り道して貨物線へ

 38系統は明治通りを北上し、1.6キロメートル先で再び専用線を進む。その専用線も緑道になっている。明治通りは幹線通りで騒々しかったので、ちょっと寄り道してみた。南砂四丁目交差点の先が親水公園の入り口で、左に折れて公園に入れば正面に鉄橋。これはさっきの越中島支線である。その線路に沿うように「南砂線路公園」がある。この公園は複線だった貨物線の線路跡地で、越中島支線に並んでいる。こちらのほうが楽しそうだ。

 線路を眺めつつ清洲橋通りを超えていくと大きなマンションが現れる。その先は「アリオ北砂」というショッピングセンターだ。このビル群のある広大な土地に、2000年まで小名木川貨物駅があった。開設は1929(昭和4)年。このあたりは昔から水路が多く、水運を利用した倉庫業や製造業が集まった。小名木川駅の記憶を残すものとして、マンションの敷地の一角に車輪が飾られている。

 小名木川駅は鉄道輸送と水運との接続拠点として機能していた。これは鉄道の発達史に多く見られる形態で、かつての秋葉原貨物駅(現在のUDXビルあたり)も神田川の水運と接続していた。小名木川駅は東京港の埠頭の拡張と共に荷扱いを増やした。そして錦糸町駅、両国駅、亀戸駅の貨物機能を移転集約させると、年間貨物取扱量は290万トンにもなったという。

かつての貨物駅が大規模マンションになっている
小名木川貨物駅を記念した車輪とプレート

さらに寄り道して砂町銀座を往復

 このあたりでお昼になったので、またまた寄り道。線路を背にして東へ歩き、明治通りに当たると砂町銀座商店街がある。ここから丸八通りまでの670メートルに商店がズラリと並ぶ。戸越銀座のような昭和の趣を残す大商店街で、お昼前というのに買い物客が多く、お店も活気がある。私も、豆腐専門店でおからを使ったおせんべいを買ったり、おもちゃ屋さんやペットショップを眺めたりと、のんびり歩いて楽しんだ。

旨いものを探して砂町銀座へ。
ペットショップの店先。犬の置物に名前が付いていた。

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