ベトナム航空を利用する人は、対応してくれるクルーによってもサービスのやり方に違いがあるのを感じるだろう。それぞれの行動をマニュアルで縛ることは最小限に抑え、クルー1人ひとりが自分の持ち味を発揮しながら、臨機応変にサービスにあたっている。
「自分のいいと思うことは率先してやる、それがベトナム航空のスタイルですね」と話すのは、もう1人の日本人クルーの尾崎さんだ。「マニュアル化されているほうが楽という面もありますが、自分の創意工夫が発揮できる分、やりがいにつながっています。何かミスがあっても、ベトナムの人たちはみんな陽気でおおらか。細かいことをいちいち言いません。クルー同士がとっても仲が良く、働いていて楽しいですよ」
尾崎さんの仕事ぶりを見ていて、通路を通りかかる回数が他のクルーに比べて多いことに気付いた。アオザイの裾を優雅に揺らしながら。そのたびに、彼女はあちこちから呼び止められている。これも、自分で考えた仕事のスタイルだそうだ。日本人は遠慮がちで、あまり自分から要求してこない。コールボタンもなかなか押さない。だから、できるだけ多くキャビンを歩いて、声をかけやすくしているのだ──と。
VN951便は順調にフライトを続け、沖縄の北部を通過した。眼下に、本島や慶良間諸島がくっきり見えている。その後は台湾の南部をかすめて、いよいよインドシナ半島へ。午後1時30分を回り、機長から「当機は徐々に高度を落とし、間もなく最終の着陸体勢に入ります」とアナウンスされた。
午後の強い日差しが窓から差し込む。小さな集落が点在する茶色と緑のまだら模様になった大地の向こうに、やがてホーチミン・タンソンニャット国際空港が見えてきた。
ベトナム航空は近年、地上サービスのグレードアップにも取り組んできた。2007年9月にはタンソンニャット国際空港のリニューアルが完了し、国際線ターミナルビルがグランドオープン。免税店やレストラン&カフェなどの商業施設が充実し、待ち時間の楽しみも増えている。同年10月には専用の新ラウンジもオープンした。旧ターミナルのラウンジに比べて2倍の広さになった新ラウンジには、PCやFAXを備えたビジネスセンター、ベトナム料理を中心とするホットミールが楽しめるビュッフェ形式のバー、寿司バー、ドリンクバー、さらにマッサージルームなど多様なサービスが用意されている。
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