第51鉄 キハ52と保存車両とホタルトレイン――房総横断ローカル線紀行(後編)杉山淳一の+R Style(3/6 ページ)

» 2011年07月12日 11時34分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 車内放送では沿線の観光案内も行っている。窓を開けているから聞き取りにくいのだが、その中には「コント赤信号のリーダー、渡辺正行さんの実家が見えます」といったものもあって笑いを誘っていた。そんな車窓の重要ポイントは「スナフキンの家」だ。大原駅へ向かって車窓左手にある。急行列車だけではなく、普通列車も子供が乗っている時は徐行するという。スナフキンのテントがあり、彼は釣り糸を垂れていた。そばにはミイも立っていた。

スナフキンの家。ミイもニョロニョロもいる

丘の上の保存車両を見に行く

 JRの外房線に接続する大原駅に到着すれば、房総半島横断は終了。しかし今日はまだまだお楽しみが残っている。急行3号が大原駅に近づくと、車内では引き返す人向けに急行券の販売が始まった。駅で買う急行券は硬券、車内では車内補充券で発行してくれる。きっぷコレクターにもうれしい配慮だ。

 折り返した急行4号でデンタルサポート大多喜駅に戻り、約30分後の列車でまた大原方面への普通列車に乗った。目的地は2つ目の上総中川駅。急行は停車しない駅だ。この駅の近くにいすみ鉄道の保存車両があるという。キハ52の導入と引き換えに引退した車両で、ほかに北陸鉄道と万葉線の保存車両もあるらしい。

田んぼの中の道を歩いていくと「ポッポの丘」が見えてきた
左から万葉線デ7000形、いすみ鉄道200形、北陸鉄道モハ3750形(クリックすると拡大)
デ7000形の車内は鶏卵の直売所。800円で詰め放題セールもある。箱にいっぱい入れて、さらにピラミッド状に積み上げても良いとのこと。でも電車の旅では持ち帰りにくい。きれいに箱詰した宅配扱いがおすすめ

 無人の上総中川駅を降りて、国道を大原方面に歩く。信号のある交差点を左折して踏切を渡り、田んぼの中の道をずーっと歩いて行くと……おお、見えた見えた。左手前方に黄色い車両が鎮座している。ここは今年の5月にオープンした「ポッポの丘」だ。いすみ鉄道の200形(204)、北陸鉄道石川線で活躍したモハ3750形(3752)、万葉線で活躍したデ7000形(7052)が並んでいる。どれも車内に入れるんだ……と思ったら、車内はお土産や農産物の直売所になっていた。

 見学無料だったから、入場料のつもりでお土産を購入した。「いすみ鉄道 里山やさいとチキンのカレー」「トレインおかき」「ブルーベリーカレー」など。実は、いすみ鉄道 里山やさいとチキンのカレーと、トレインおかきの購入は2回目だ。いすみ鉄道は東日本大震災の時に、三陸鉄道とひたちなか海浜鉄道を支援する「復興応援切符」を発売しており、私はそれを粋に感じて通販で購入した。通販サイトで「5000円以上は送料無料」というから、ついでにカレーやおかきも買ったというわけだ。おみやげ品だからと期待していなかったけれど、意外にも(ゴメンナサイ)美味しかった。だから「次回は現地で買おう」と決めていた次第である。

 買い物も終わって見渡せば、200形とモハ3750形は同じ線路の上で連結されていた。線路の先はさらに工事中のようす。もしかしたら、保存車両を走らせるつもりだろうか。あるいは、新たな保存車両を置く場所を作っているのかもしれない。

車内はお土産屋さんになっている

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.