24時間連続飛行の具体的なプランとしては、前日までに充電した飛行機で夜が明けると同時に離陸し、太陽光で電池をチャージしながら高度8500メートルまで上昇。そこでエネルギーを節約するためプロペラを止め、充電を続けつつ滑空状態で巡航飛行する。日没後はゆるやかに高度を落とし、地上1000メートルまできたら昼間蓄えたエネルギーを使って再びプロペラを回すことで、最低限の高度を保つ。
そこで重要になるのは、電池の備蓄量と夜明けまでの残り時間をどこまで精密に計算できるかだろう。
「水平線から再び太陽が昇るまで、エネルギーがはたして持つかどうか? 操縦するパイロットも地上で見守るスタッフも、緊張は夜ごとにピークに達するだろうね」とプロジェクトメンバーの1人がうなずいて言った。「そのためにも、本番までは入念にテストを繰り返さなければならない。24時間ごとのサイクルでそれを成功させることで、目標の“永久飛行”が現実になる」
2010年7月。スイス西部のフリブール地方の飛行場に、プロジェクトのスタッフ全員が結集した。いよいよ24時間連続飛行へのチャレンジだ。この日、コクピットに乗り込んだのは、前述した2人のリーダーのうちボルシュベルク氏のほうだった。相棒のピカール氏は多くのスタッフとともに、飛行の様子を地上で見守る。現地時間の7月6日早朝、ソーラーインパルスはいつものようにゆっくりと空中に浮かび上がった。
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