世界最大のオール2階建て旅客機、エアバスA380を解剖する秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(6/6 ページ)

» 2011年02月23日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]
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A380就航で旅のスタイルにも変化が

 シンガポール航空は2011年の夏スケジュール(3月27日〜)より、A380をシンガポールとロサンゼルスを成田経由で結ぶ路線に導入すると発表した。これにより、前述した成田発11時30分のSQ637便はエアバスA330-300に機材を変更し、A380は20時50分発のシンガポール行きSQ11便で使用。同時に今後は、日本からロサンゼルスへの旅(成田発19時15分・SQ12便)でもA380を体験できるようになる。さらに2011年5月には大韓航空もA380を受領し、翌6月から成田/ソウル(仁川)線で導入することが決定した。またかねてから噂のあったスカイマークも4機のA380をエアバスに正式発注し、ロンドン線をはじめとする国際線参入への準備に入ったと伝えられている。日本の空は今後、ますます賑やかさを増しそうだ。

飛行機と空と旅 2010年9月から成田/パリ線でデイリー運航を続けるエールフランス航空のA380(出典:エールフランス航空)

 とくに大韓航空は、A380のキャビンをわずか407席でレイアウトしているという。メインデッキ前方にファーストクラス12席を、後方にエコノミークラス301席を配置し、アッパーデッキはすべてビジネスクラスに。そのビジネスシートは、わずかに94席しか置かない。きわめて贅沢なスペースの使い方だ。

 ソウルは日本からの身近な旅行先として根強いブームが続いているだけに、大韓航空のA380就航は多くの日本人旅行者にとって朗報だろう。最初に旅の目的地を決め、そこに行くために必要なエアラインを選ぶ。それがこれまでの一般的な旅のプランニングの方法だった。しかしA380が就航して以降は、まず「この飛行機に乗ろう」という思いが先にきて、その就航地の中から旅のプランを決める──そんな旅のスタイルも出てきているのだ。

飛行機と空と旅 独ハンブルグのエアバス工場で2011年2月23日、大韓航空への1号機の塗装が完了(出典:大韓航空)

著者プロフィール:秋本俊二

著者近影 著者近影(米国シアトル・ボーイング社にて)

 作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。

 著書に『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。

 Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。


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