連載
» 2010年12月06日 13時02分 UPDATE

杉山淳一の +R Style:第43鉄 「元レッドアロー」、アルペンルートを走る――富山地方鉄道 (1/6)

子どものころ、西武鉄道の新型特急列車5000系レッドアローが憧れだった。デビューから40年が経った5000系は、今、富山地方鉄道で立山黒部アルペンルートの一翼を担っている。懐かしの車両から最新のLRTまで富山地方鉄道で活躍するさまざまな車両を紹介しよう。

[杉山淳一,Business Media 誠]

 1969年、西武鉄道は西武秩父線を開業し、同社初の有料特急「ちちぶ」号として、新型特急電車5000系「レッドアロー」を走らせた。運転台窓の下に銀色の飾りを入れた姿は、まるで鉄の仮面を被ったヒーローのようで、電車好きの子どもたちの憧れだった。当時、西武鉄道は秩父線をさらに軽井沢まで延伸する構想があったという。実現すればレッドアローも軽井沢行きになったかもしれない。

 ところが今、初代レッドアローはもっと遠くで活躍している。なんと北陸の富山地方鉄道で、立山黒部アルペンルートの一翼を担っているのだ。

map 今回のルート。GoogleMapsで筆者による各ポイントについての説明が読める
ay_01.jpg

07時07分、急行宇奈月温泉行き。富山地鉄「16010形」

 鉄道車両の寿命は約20年が目安だと言われている。もちろん整備状態が良ければもっと長持ちするが、だいたい20年前後で第一線を退くというパターンが多い。これが鉄道ファンにとってどう影響するかというと、「子どもの頃に憧れた電車は、大人になった頃に引退してしまう」ということになる。つまり、自由にお金や時間が使える頃には消えてしまうわけだ。

 絵本で見て憧れた電車に会えない――鉄道趣味の魅力には、新しい電車の登場だけではなく、去りゆく電車への思慕という要素も大きい。

 そんな中、子どものころの僕が憧れた西武鉄道「レッドアロー」5000系は、今も富山地方鉄道で走っている。富山地方鉄道に乗りに行く機会ができて、もっとも楽しみにしていた電車が元「レッドアロー」だ。富山地方鉄道では16010形という番号に改められ、主に「アルペン特急」として走っている。詳しく調べると、残された部分は車体だけで、足回りは国鉄の特急電車の流用だったり、運転室の部品が元京浜急行だったりするらしい。でも、外観や室内は昔のままだという。ちなみにWikipediaによると「レッドアロー」という名前は西武鉄道の商標なので、16010形は「レッドアロー」とは呼ばないらしい。

 16010形は主に特急列車として運行されているという。富山地方鉄道の特急列車は2系統あり、1つは電鉄富山と宇奈月温泉を結ぶ特急「うなづき」、もう1つは立山と宇奈月温泉を結ぶ季節特急「アルペン」だ。どちらに乗ろうかなと思案しつつ、10月11日、祝日の朝に電鉄富山駅に行ってみたら、なんと07時07分発の急行が16010形だった。あっさりと希望がかなったので、この電車で宇奈月温泉まで乗り通すことにする。ちなみに特急に乗るには特急券が必要だが、急行は乗車券だけで乗れる。もっとも僕は「電車全線2日間フリー乗車券」を持っていて、このきっぷは特急の自由席も利用できる。

       1|2|3|4|5|6 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

ITmedia 総力特集