第39鉄 夏の青春18きっぷ旅(3)SLだけじゃない! 魅力満載の大井川鐵道杉山淳一の+R Style(6/7 ページ)

» 2010年09月24日 22時30分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 2つ目は奥大井湖上駅だ。井川線の列車は鉄橋を渡り、長島ダムに浮かんだ島の駅に着く。実は島ではなくて、突き出た対岸である。ここから始まるハイキングコースが人気で下車客も多い。また、この駅を挟んだ鉄橋は「レインボーブリッジ」と呼ばれていて、井川側は線路脇に歩道もある。この橋からの風景がいい。たっぷりと水を蓄えた静かな水面の向こうに、ダム建設で付け替えられる前の線路が見える。

レインボーブリッジを渡る
奥大井湖上駅。橋を徒歩で渡る人もいた
湖の対岸に旧ルートの鉄橋が見える
関の沢橋梁からの眺め。川の底から線路まで100メートル、真下は怖くて見られなかった(笑)。下の方に沢が流れているのが見えるだろうか

 3つ目は尾盛駅の先にある「関の沢橋梁」だ。川の底から線路までの高さが100メートルある、日本一高い鉄道橋である。井川線のほとんどの列車は、ここでサービスのため徐行運転してくれる。時間にゆとりがあるときは停車までしてくれる大サービスだ。停車すると列車の走行音が消える。絶景と静寂に包まれて、異世界に迷い込んだような気分になるだろう。

 ちなみに尾盛駅はダム工事労働者の町があった。しかし今は人家も何もない秘境駅として有名になり、散策しようとして降りる人も増えたらしい。私が乗った列車からも降りる客がいて、車掌さんに「必ず次の列車に乗ってください」と念を押されていた。去年は熊が出たそうだ。


東京から各駅停車で日帰り可能

 井川線の終点は井川駅。付近には土産物屋と井川ダムしかない。井川ダムは水力発電のために作られたダムで、管轄は中部電力だ。管理事務所のそばに井川展示館という見学施設がある。展示物によると、井川ダムは日本初の中空重力式コンクリートダムとのこと。中空重力式は、ダム堤の内部に空間を作り、コンクリートの量を節約する工法だそうだ。その中空部分の空間を利用して「ヘブンズドア(参照リンク)」という映画のロケが行われたという。主演は長瀬智也。ダムは悪の組織の秘密基地という設定だったそうだ。ダム内部を見学できる機会は少ないというから、堤の中を見たい人は映画をチェックしよう。

井川ダムの堤から湖を眺める。「AutoStitch」を使ってパノラマ写真にしてみたので、拡大画像もどうぞ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.