第33鉄 個室じゃなくても楽しいよ! 豪華寝台特急トワイライトエクスプレス杉山淳一の+R Style(2/6 ページ)

» 2010年05月29日 10時30分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 トワイライトエクスプレスは機関車を除き10両編成。機関車の直後は電源専用車。大きなディーゼル発電機を搭載して、客車の明かりや食堂車の調理器などに電力を供給する、そのためだけの車両である。かつては余地を荷物輸送に使っていて、新聞などを運んでいたけれど、さて、現代はどうだろう。トワイライトエクスプレスは繁忙期以外は隔日運行なので、定期的な荷物輸送はないかもしれない。それはともかく、騒音の発生源を隔離したおかげで、トワイライトエクスプレスの客室は電車よりもずっと静かだ。「寝台列車は静かであるべき」という、設計者の気持ちがこめられているようだ。この静けさも贅沢を感じさせる要素の1つ。

筆者が予約したB寝台。もっとも安い料金で乗れる場所

 電源車の後ろはB寝台車。個室ではなく、二段ベッドの寝台が並ぶ。いわばエコノミークラスだ。トワイライトエクスプレスでは通路との仕切りに扉があるので、扉を閉じるとさらに静かに過ごせる。向かい合わせ4人分を同一グループで予約すると施錠もできて、簡易な4人用個室になるというわけだ。もっとも扉はガラス入りで、密室度は低い。さらに後ろへ歩いていくと、個室中心の車両になる。「シングルツイン」は1人用。しかし補助ベッドを使って2人部屋にもなる。そして2人用個室の「ツイン」。

 大きな窓の車両は展望サロンカー「サロンデュノール」。その隣は食堂車「ダイナープレヤデス」だ。ホームの中央では鋼鉄の大きな台車にダンボールが山積みになっていた。この荷物の山は食材だ。乗客たちの三食を賄う量は壮観。長旅の気分が盛り上がってくる光景だ。

食堂車の出発準備風景。隣の車両からも搬入されていた(左)。最後尾の車両は展望スイート。カーテンが引かれており、室内は見えなかった(右)

 その後ろ、1号車と2号車は最高クラスの1人用個室「ロイヤル」と2人用個室「スイートルーム」。最後尾の1号車には、憧れ中の憧れ、展望スイートルームがある。各車両ともスイート1室、ロイヤル4室。つまり乗車定員はたった6名。ロイヤルにエキストラベッドをつけて2名で利用したとしても、乗車定員は10名という贅沢な空間だ。通勤電車なら300人以上も詰め込める空間にたった6〜10人。いかにおおらかな空間か理解できよう。そのぶん部屋代も高額だけれど、バス、トイレ付き、食事もルームサービスが可能。誰もがあこがれる部屋だ。ここは常に人気でなかなか予約できない。

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