さて、小布施といえば栗の街。栗菓子や栗おこわが名物だ。駅前の道をまっすぐ歩くと国道に突き当たり、さらに右へとひたすら歩く。やがて古い町並みが見えてくる。
「小布施堂」「竹風堂」「桜井甘精堂」など、長野のお土産で有名な栗菓子の店が軒を連ねている。栗おこわを注文すると、ちょっと待ってねと言われた。そして炊きたてを包んでくれる。うれしくなって鹿の子なども買ってみた。見ると、栗を使ったソフトクリームもある。これは珍しい。外はまだ寒いが、早足で歩いてきたから体が熱い。思わず注文し、栗おこわを待つ間にいただいた。
須坂から屋代線に乗り換えた。屋代駅はしなの鉄道に接続している。この路線は千曲川に沿っている。もう暗くなってきたので寄り道はしないが、金井山駅からは蛇行する千曲川の風景が眺められるだろう。この付近は武田信玄と上杉謙信が勢力を争った川中島合戦場である。川中島の合戦は12年間にわたり5回の衝突があって、金井山付近は第4次合戦の激戦地だったところ。武田信玄の軍師として有名な、山本勘助の墓もあるそうだ。
車窓からは「エノキダケ発祥の地」の看板も見える。鍋料理に入れるとスジの間に出し汁がしみこんで旨い、そして歯のすき間に挟まるとやっかいなアレだ。発祥の地と書いてあるが、エノキダケは自然にもともとあったもの。“初めて栽培に成功し、量産したところ”という意味だ。象山口駅とは珍しい名前だが、太平洋戦争に詳しい人ならピンと来るはず。象山は戦時中に松代大本営を作ろうとしたところである。天皇陛下や軍の中枢機能を疎開させるため、ここに広大な地下壕が作られた。現在はその一部が公開されているという。
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