第28鉄 流氷を追って知床へ! ダルマストーブ列車でオホーツク海岸の旅杉山淳一の +R Style(4/5 ページ)

» 2010年03月08日 07時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

流氷を追って知床へ。「流氷ノロッコ号」で戻る

 翌朝、網走を06時41分に発車する釧網本線の始発列車に乗って知床斜里駅へ。お目当ては「流氷ノロッコ号」だ。流氷シーズンの1月30日から3月7日まで、網走と知床斜里を2往復する。網走発の便で行くなら10時25分発の便がある。しかし今回は普通列車で知床斜里へ迎えに行って、知床斜里を08時56分に出る列車で戻る行程にした。さらに、網走へ戻らず、北浜で降りてまた折り返し、釧路行きの快速に乗る。ややこしいが、こうすると標茶から釧路行きの「SL冬の湿原号」に乗り継げるからだ。流氷ノロッコがもっと早く網走を出発してくれたら、途中で2回も折り返さずにスムーズに乗り継げるのに……。

釧網本線始発列車からの車窓。知床付近は流氷が到達していた
知床斜里駅。知床観光の拠点のひとつ

 もっとも、雪国の始発は普通列車でも楽しい。運転席の後ろから前方を眺めれば、線路が雪に埋もれている。まるで線路がない雪の道を走っているようだ。車窓左手はオホーツク海が見え隠れする。この区間はあとでノロッコ号でもう一度見ることになるから、予習のつもりで眺めた。どのあたりで海が見えるか、左と右の車窓のどっちがいいか。ぼんやりと眺めた結果、海側の車窓は、網走寄りで海の見える部分がちょっとだけ、北浜付近で海が広がって、それ以外は樹木や小さな丘で遮られてしまうとわかった。その間、反対側の車窓がいい。雪に覆われた原生花園が広がって、運がよければ渡り鳥を見られるという。

 「流氷ノロッコ号」はディーゼル機関車が牽引する客車列車だ。室内はトロッコ車両風の木製ベンチが並び、海側に窓を向いた二人がけベンチ。反対側に向かい合わせの3人掛けベンチとテーブルが配置されている。車両の隅にはダルマストーブも設置されていた。ストーブ列車というと津軽鉄道が有名だが、こちらはその北海道版。かつては吹きさらしのトロッコ客車で運行されていて、我慢大会のような“シバレ体験列車”だったという。今の客車はちゃんと窓にガラスが入っている。

流氷ノロッコ号
流氷ノロッコ号の室内にはダルマストーブが。車内の販売コーナーではスルメを販売しているので、焼いて楽しめる

 流氷ノロッコ号は観光バスでやってきたお客さんを乗せて走り出した。知床斜里から網走への車窓、海はさっきよりも氷が増えていた。流氷は風任せで、海上の風の強い日は景色が刻々と変わっていく。さっきより流氷が増えて、海岸線が曖昧になっている。海が丘で遮られてしばらくすると、前方から歓声が起きてこちらに伝播した。列車のすぐそばにキタキツネがいた。2匹。夫婦だろうか。

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