第26鉄 バレンタインデーには江ノ島へイルミネーションを見に行こう――湘南モノレール&江ノ島電鉄杉山淳一の +R Style(1/4 ページ)

» 2010年01月30日 17時19分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 2009年のクリスマスシーズン、全国のローカル鉄道でイルミネーションが流行った。私が知っているだけでも、わたらせ渓谷鐵道、秩父鉄道、山万ユーカリが丘線、小湊鉄道、養老鉄道、福井鉄道、リニモ、三岐鉄道、しなの鉄道、近江鉄道、阿佐海岸鉄道、やまぎんレトロライン、広島電鉄、鉄道博物館がある。大手私鉄のターミナルなども入れればかなりの数になるだろう。おかげで日の短い冬の鉄道旅が楽しくなった。

 江ノ島電鉄(以下、江ノ電)でも、4つの駅でイルミネーションが施されており、ロマンチックな気分に浸ることができる。実施期間も長く、2009年のクリスマスから2010年のバレンタインデーまで開催されているという。どんな光景なのか、見に行ってみることにした。

今回のルート。赤線が湘南モノレール、緑色の線が江ノ電だ。各ポイントについての説明は、GoogleMapsで筆者によるコメントを確認してほしい

明るいうちに寄り道、どうしても“あの顔”が気になるのだ

 今回の目的地は江ノ電と江ノ島だ。しかし大船駅で途中下車した。実は、子供のころから気になっているところがあったから。

 それは、大船駅そばの大きな観音様だ。東海道線の窓から見上げると、大きな白い顔がこちらを見つめている。特に寝台特急で帰ってくると、そのお姿は朝日に照らされてまばゆく光り、子供のころに見た特撮ドラマ『ロボット刑事※』の「マザー」のようだった。気になりつつも通り過ぎていたけれど、今日の散歩は日暮れからスタートだから、明るいうちに寄ってみよう。念願の対面である。

※ロボット刑事…石ノ森章太郎原作の特撮ドラマ(1973年)。刑事ロボットKが「マザー!」と叫ぶと、Kの基地が現れる。基地は女性の姿をしている。

 駅を出て橋と道路を渡り、果物屋さんの角を曲がると参道だ。急な坂道をちょっと登れば境内に着く。列車の窓から見ても大きかったお姿は、近づくとさらに大きい。そして優しいお顔をしていらっしゃる。よく見ると、おでこにも観音様が……もしやあれが本体? 「ファティマ※※」のモデルだろうか?――おっと失礼。世代ネタ、アニメネタは自重しよう。

※ファティマ…永野護原作『ファイブスター物語』に登場する女性型人造人間。戦闘ロボット「モーターヘッド」パイロットのパートナーとして、中枢回路を制御する。
大船観音を間近で見る

 このお姿は大船観音といって、1960(昭和35)年に完成したとのこと。制作開始は1929(昭和4)年で、なんと完成まで31年もかかっているそうだ。護国観音として作られたものの、完成半ばで世界恐慌のため寄付金不足となり、戦時中は中断された。戦後の復興推進には、財界をはじめ各界の著名人が参加したという。その中には東急電鉄初代社長の五島慶太の名前もある。……おや、ちゃんと鉄道にゆかりのある観音様だった。よかった。ちなみに観音様の中も見学でき、建立の経緯が紹介されている。

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