第19鉄 毎日走るミステリートレイン――快速むさしの杉山淳一の +R Style(4/4 ページ)

» 2009年11月29日 05時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]
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 種明かしをすると、武蔵野線はもともと貨物列車を都心から迂回(うかい)させるために建設された路線で、あとから沿線の人口増大に合わせて旅客列車も走るようになった。浦和と国分寺の短絡線は、貨物列車を迂回させるために初めから作られていた。それを利用した旅客列車が「快速むさしの」というわけだ。「快速むさしの」のルーツは、東北新幹線が大宮始発で開業したときに、「新幹線リレー号」として設定された列車である。新幹線が上野や東京に延伸したために、運行本数を減らして「快速むさしの」となった。現在は、首都圏の北と西を直結する便利な列車として、多摩地区の大学生や東北新幹線などを利用する人に人気がある。湘南新宿ライン並みに増発を願う人も多いという。でも、混雑した中央本線に割り込ませる列車だから、なかなか増発できないらしい。

武蔵野線はもともと貨物線。今もさまざまな貨車を眺められる

 終点の八王子駅には09時49分着。お昼ご飯にはまだ早い。高尾へ出て高尾山へ、あるいは手前の立川で降りて奥多摩方面へ出かけてもいい。大宮に帰るときも「快速むさしの」に乗るなら、八王子発は16時52分である。ミステリー列車で往復するピクニックはいかがだろうか。

 ちなみに、反対方向の大宮行きの列車は、第1便が八王子ではなく武蔵野線の府中本町発になる。07時34分発で大宮着は08時11分。多摩地域から東北・上越新幹線に乗るにはとても便利な列車だ。なお、これは平日ダイヤの話。土曜と休日は「ホリデー快速むさしの号」として1往復の運行になる。運行時刻は八王子発06時47分、大宮着08時11分と、大宮発18時22分、八王子着19時14分となっている。それぞれの時間に逆方向の列車も欲しいところだ。ただし、観光シーズンには朝の大宮から甲府方面の臨時列車があって、快速むさしのと同じルートを経由している。

 知る人ぞ知る便利な列車、快速むさしの。ただし、お乗り間違えのないようご注意を。

八王子駅に到着。さあ、どこへ行こうか?

今回の電車賃

大宮−八王子 普通乗車券、780円


著者プロフィール:杉山淳一

著者近影(2006年5月に閉館した、東京・万世橋の交通博物館にて)

 肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」

 コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。

 趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう8 公式ガイドブック(エンターブレイン)』など。


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