第11鉄 筑波山の正しい順路を教えます……つくばエクスプレス杉山淳一の +R Style(2/4 ページ)

» 2009年07月29日 00時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

つくばエクスプレスで出かけよう

 さて、筑波山へ行くなら快速に乗ろう。つくばエクスプレスは新しい路線で線路も高規格で作られており、最高運転速度が時速130kmだ。建設中の成田新線は時速160kmを予定しているけれど、それまでは関東の私鉄としてはもっとも速い。その速さを快速列車で体験したい。乗車する位置は中間の3号車、4号車がオススメ。一部が4人向かい合わせのボックスシートになっていて、旅をしている気分になる。座席は左側にしよう。とくにオススメ、という場所はないけれど、晴れていれば遠くに関東北部の山を望めるだろう。

 そして帰りも左側に。そうすれば、つくばエクスプレスの両側の沿線風景を楽しめる。特に帰りの列車では、みらい平を通過してすぐに「田んぼアート」が見える。田んぼアートはつくばみらい市のNPO法人「古瀬の自然と文化を守る会」が実施している。つくばエクスプレス開業時以来の伝統的な行事になっていて、見ごろは7月中旬から9月中旬までだそうだ。筑波山の観光シーズンとしては市営梅林が満開になる2月頃がいいらしい。でも、つくばエクスプレスの車窓シーズンは田んぼアートの夏がピークだ。

2000系はクロスシートもあって旅気分(左)。千住付近は鉄道が交錯する楽しい区間(右)

 鉄道ファンとしてのおすすめ車窓ポイントは南千住と青井の間。つくばエクスプレスは秋葉原から南千住までは地下区間で、南千住を出ると常磐線と東京メトロ日比谷線に挟まれる。その並びで隅田川を渡り、次の北千住の先で荒川を渡る。常磐線は通勤電車、近距離電車、特急電車や貨物列車などさまざまな車両が走るし、日比谷線には東急東横線や東武伊勢崎線の電車が乗り入れる。どんな電車と離合できるか、そんなところも楽しみだ。

 ちょっと長い地下区間が終わり、中川、江戸川と鉄橋を渡るごとに車窓の建物が減っていく。利根川を渡れば田んぼのほうが多いくらいだ。もっとも、つくばエクスプレスの開業で急速に宅地開発が進んでいるから、景色はどんどん変わっていくだろう。このあたり、実は通勤通学で乗っている人のほうが、日々の移り変わりを楽しめそうだ。

守谷駅の少し先、直流・交流区間の切り替えポイントに注目

 次の鉄道ファン的車窓ポイントは守谷駅の先。左手の遠くにつくばエクスプレスの車両基地がある。もっとも防音壁が高いのでよく見えず、ちょっと残念なところだ。それでは車内に注目しよう。見所はドアの上の案内表示器。しばらくすると表示が消えて、すぐに元に戻る。この間はエアコンも止まる。この珍現象は、電化方式の切り替えが原因だ。この場所を境にして、南は直流電化区間、北は交流電化区間になっている。

守谷を過ぎたらここに注目!?

 つくばエクスプレスよりも北に気象庁の地磁気観測所があって、直流電流を通すと観測に支障が出る。そこで守谷から北は交流電化となった。一方、守谷から南側は地下区間が多いため、直流電化のほうがいい。なぜなら、2万ボルトの高圧電流を使う交流電化にすると、安全のためトンネル断面を大きくしなくてはいけない。そうすると建設費用が大きくなるし、ルートの確保も難しくなる。だから直流・交流2つの電化方式を採用した。

 この電化区間の特徴によって、つくばエクスプレスの電車も2種類が用意されている。一見すべて同じ顔をしているが、秋葉原と守谷を結ぶ電車は直流専用の1000系、秋葉原からつくばまで直通する電車は交流直流両対応の2000系となっている。見分け方は、車体側面の車両番号のプレートだ。紺色なら1000系、赤色なら2000系。また、1000系の座席は全車両とも通勤タイプのロングシート。2000系は中間車両にクロスシートを採用している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.