「ダークナイト」+D Style 最新シネマ情報

» 2008年08月01日 19時21分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo TM&(C)DC Comics(C)2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 2005年の「バットマン ビギンズ」から3年、クリストファー・ノーラン監督と主演クリスチャン・ベールの新シリーズ第2弾「ダークナイト」が、いよいよ日本でも公開される。

 7月18日に公開された北米では、初日3日間で興行収入1億5534万ドル(約165億円)を記録。これまで「スパイダーマン3」が保持していた1億5111万ドルの記録を更新する、大ヒットスタートとなった。

 ゴッサム・シティの平和を守るため、バットマン(クリスチャン・ベール)は、ジム・ゴードン警部補(ゲイリー・オールドマン)と地方検事ハーヴェイ・デント(アーロン・エッカート)と共にマフィア撲滅を誓い合う。マネーロンダリングをしていた中国企業の社長を捕まえ、彼の証言によってマフィアを次々と逮捕。だが、金と引き換えにバットマン殺害をマフィア幹部に約束した凶悪犯ジョーカー(ヒース・レジャー)が出現し、ゴッサム・シティは再び恐怖と混乱に支配されてしまう。ジョーカーは、バットマンがその正体明かさなければ市民を血祭りにあげていく、と脅迫するが……。

photo TM&(C)DC Comics(C)2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 バットモービルが大破した途端、車体からマシンガンを装備したバイク、バットポッドが飛び出し、そのまま怒涛のカーチェイスへ。さらにビルを丸ごと爆破など、アクションシーンも大増量だが、なんといっても今年1月に急逝したヒース・レジャー演じるジョーカーのインパクトがスゴイのなんの……。

 ヒースが顔を引き上げたり、目を細めたり、クシャクシャにした上に白く塗ってできあがったという、あの異様なメイクだけでもタダモノではないが、それ以上に鬼気迫る演技と不敵な笑みに激しく魂を揺さぶられる。ピエロのような、おどけた仕草と異常なテンション。イメージしたのは「時計じかけのオレンジ」の主人公アレックスだという。ティム・バートン版のジャック・ニコルソンをコピーすることなく、もっと恐ろしいジョーカーを作り上げている。

 前作に引き続きクリスチャン・ベール、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマンなども上手いし、ケイティ・ホームズの代打であるマギー・ギレンホール、重要な役回りのアーロン・エッカートも印象深い。

 悪を倒しても、結局、悪は滅びず。正義のために戦ってきたバットマンは、悪を生み出す諸悪の根源として市民から冷たい視線を浴びてしまう。前作以上にダークで物悲しく、人はなぜ犯罪に走るのか? といった問題に迫る奥深さ。

 2時間32分の長さだが、時間がたつのも忘れるほど。今さらながら、時間の感じ方は作品次第ということを実感。旧作を見ていなくても十分楽しめるので、ぜひともスクリーンで!


ダークナイト

監督・製作・原案・脚本:クリストファー・ノーラン/脚本:ジョナサン・ノーラン

出演:クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ヒース・レジャー、マギー・ギレンホール、ゲイリー・オールドマン

配給:ワーナー・ブラザース

2008年8月9日(土)より丸の内プラゼールほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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