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NTT再々編──ネット関連事業を統合、固定・携帯融合へ

» 2005年11月09日 20時35分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「NTT法で許されるギリギリのところでやっていく」――11月9日、NTTグループ中期経営計画の具体的な内容を説明したNTTの和田紀夫社長はこう話し、グループ各社に分散したサービスを順次統合する方針を明らかにした(関連記事参照)

 ネットサービスはNTTコミュニケーションズに統合・一元化する。NTTコムとNTTドコモの連携も強め、法人向けサービスでは固定通信と携帯通信をシームレスに利用できるFixed Mobile Convergence(FMC)環境構築を目指す。東西地域会社とドコモが協力し、光ファイバー網を活用したIPベースの次世代ネットワークを2006年度下期から構築する。

photo 「各社の役割を整理する。再統合ではない」と和田社長

 KDDIがパワードコムを吸収して光回線インフラを手に入れ、ソフトバンクも携帯電話事業参入が認められるなど、通信をめぐる競争は激しさを増している。NTTグループはこれに対抗し、各社が個別で行ってきたサービス重複を整理。携帯網と固定網の連携を強めることで競争力を高める。

 「グループ内で張り合うのをやめ、お互いのアドバンテージを生かすのは当然の流れ。NTT法には『ISPを統合してはならない』とは書いていない」――今回の再編はNTT法の範囲内で、NTTの再統合ではないと、和田社長は何度も繰り返した。

 サービス統合は顧客も望んでおり、社会的ニーズにも合致すると和田社長は強調する。「固定と携帯の融合や、ネットサービスの一元化を顧客は求めており、他の事業者はそれが可能だ。NTT法の規制でNTTだけできないというなら、NTTは存在する意味がなくなる」

ネットサービスと法人向けはNTTコムに

 ネットサービスはNTTコムに集約する。NTTコムと、ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントを来夏をめどに事業統合(関連記事参照)。グループ内に散らばったISPやポータル、IP電話、映像配信などネットサービスもNTTコムに統合していく。ぷららネットワークスが運営するISP「ぷらら」の事業も統合する方向で検討する。

 他社との交渉窓口もNTTコムに一元化することで、広告ビジネスやEC、決済サービスなどといった新ビジネスを展開しやくすくする。他ISPやコンテンツホルダーとも積極的にアライアンスを組んでいく方針だ。

 法人向けサービスの窓口もNTTコムに一元化する。ただし、ソフトや情報システム関連事業はNTTデータが中心となって対応する。NTTコムとNTTドコモの連携を強め、法人向けサービスで固定と携帯の融合を目指す。

 各社のサービスへのシングルサインオンや、請求書の一元化を推進。固定と携帯の請求書の一元化は従来、法人顧客のみ個別に対応していたが、2006年度上期には、個人向けWeb請求書も一元化可能にする。

次世代ネットで固定と携帯融合を

 光波長多重化技術などを活用したIPベースの次世代ネットワークのフィールドトライアルとシステム構築を、2006年度下期から進める。固定系のインフラ整備はNTT東西地域会社が、携帯インフラはNTTドコモが構築する。

 2007年度下期からサービスの本格提供を開始。NTTドコモがスーパー3Gを導入する2008〜2009年ごろに、固定通信と携帯通信のコアネットワークをシームレス化する構えだ。次世代インフラを活用したネット接続や、映像配信マルチキャストなど関連サービスも提供。2010年に光回線3000万加入を目指す。

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