KDDIが提供するサービスの中でも、他キャリアに対する優位性が高いといわれるのがGPSを使ったナビゲーションサービス。端末ラインアップ、ユーザー数、機能の多彩さなど、他キャリアの追随を簡単には許さないレベルに達している。
そんなKDDIが4月下旬から、ナビタイムジャパンとの協業による「3Dナビ」機能を追加すると発表した。平面の地図表示と周囲の町並みを3Dで表現した立体地図を組み合わせて目的地までのナビを行う新サービスだ。
地図を読むのが苦手なユーザーが感じている「歩き出しの方向が分かりにくい」「正しく角を曲がっているのかが不安」「目的地が近いはずなのに分からない」といった不安を解消できるサービスだと、KDDIのコンテンツ・メディア事業本部コンテンツ推進部の竹之内剛氏は説明する。
3Dナビは、ナビを利用しているユーザーが迷いそうなところで立体地図を自動起動するもの。そのポイントは、駅などから出て歩き出そうとするスタート時点と主要な曲がり角、目的地付近だ。立体地図表示への切替タイミングは音声ガイダンスと連動しており、曲がり角や目的地の50メートル手前にさしかかると、平面地図から立体地図へと表示が自動で切り替わる。ユーザーは周囲の風景と自分の位置を対比しながら目的地に向かうことが可能だ。
立体地図は、目線の高さの地図に加え、上から見下ろす視点のスカイビューも用意。どちら側の道を歩いているのかが分からないときなどに便利な機能だという。
表示される立体地図は、場所によっては店名の看板も表示されるなど、なかなか本格的なもので、移動に対する立体地図の追従もスムーズに行われていた。
EZナビウォークの立体地図対応にあたり、ナビタイムジャパンは3D描画用地図データの新フォーマット「V3Dformat」を開発した。携帯電話の場合、ユーザーにストレスを感じさせない地図表示を行うためには、通信用のデータをできるだけ軽くする必要があるからだと、ナビタイムジャパンの大西啓介社長は説明する。
「(立体地図に採用しているゼンリン/ジオ技術研究所の立体地図「Walk eye Map」の場合)カーナビなどに使われているデータのサイズは5Mバイトくらいある。これを携帯用に50分の1にあたる100Kバイトくらいに軽量化している」(大西氏)。V3Dformat化に当たっては、テクスチャ画像のサイズ縮小や表示色の最適化、3D地図に特化した同社独自の軽量化を行っているという。
ナビタイムジャパンは、他キャリア向けにもナビゲーションサービスを提供しているが、同様のサービスをJava端末向けにすぐ提供できるものではないという。「BREWに備わっているグラフィックス処理用インタフェースOpen GL ESが、最も効率よく処理できるデータ構造で端末側に送信しているからこそ実現できた。V3Dformatを使ったからといってできるわけではない」と、KDDIの優位性を説明した。
3G携帯電話へのGPS機能搭載については、2007年にも義務化される見通しで(2004年5月の記事参照)、NTTドコモやボーダフォンもラインアップに加え始めている。
KDDIでは、ユーザーの求める機能をさらにナビサービスに組み込むことで、優位性を揺るぎないものにしたい考え。新機能として、ナビサービスをベースとしたコミュニティサービスも開発中だ。「目指すのは(人の移動をトータルでアレンジする)コンシェルジュのようなサービス。ナビゲーションサービスが当たり前の生活ツールになるよう、ユーザーの使いやすさに配慮した新機能を追加していく」(竹之内氏)
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