「エンタープライズ市場のトップを狙う」──Nokiaのビジネス携帯「ESeries」

» 2005年10月13日 18時31分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 Nokia(フィンランド)は10月12日、エンタープライズ向け新製品ライン「ESeries」を発表した(10月13日の記事参照)。同シリーズの名を冠した最初の製品は「Nokia E60」「Nokia E61」「Nokia E70」の3モデル。「2008年までにエンタープライズ市場でトップをとる」と同社エンタープライズ・ソリューションズ部門を率いるメアリー T.マクドウェル氏は意欲を見せた。

 エンタープライズ・ソリューション部門からはすでに“コミュニケーター”に分類される「Nokia 9500」「Nokia 9300」が提供されており、今回の3機種は同部門が提供する最新端末となる。

 マクドウェル氏は、Research In Motion(RIM)の「Blackberry」シリーズの人気に代表されるビジネスユーザーのニーズに対応できるという。新端末投入の背景には、企業がモビリティのもたらすメリットに気がつき始めていることや、モバイルと固定を融合する技術や各種無線技術など技術面が整ってきたことなどがあると説明した。

 Nokiaでは、音声とデータの融合、固定と無線の融合の2つがエンタープライズモバイルを加速させると見ており、サービスやソリューション、端末の開発を進めている。エンタープライズの環境、利用上の懸念や課題に応えるには、「エンタープライズ向けに特別に設計された端末が必要だ」と述べた。

企業のニーズをくみとった3モデル

 ESeriesは3製品とも最新のSymbian OS、「Symbian OS v9.1」とNokiaのUI「Series 60 Platform 3rd Edition」をベースとし、3Gと無線LANをサポートしている。

 E60は、音声通話にフォーカスしたストレート型端末。GSM、W-CDMA、無線LANなどをサポートし、プッシュ・ツー・トーク、VoIPも利用できる。

 スタンダードなストレート型の「E60」

 PDAを思わせるボディデザインのE61は、電子メール端末。中央上部には電子メールボタンが配置され、QWERTYキーボードを搭載。片手でも両手でも使える携帯電話だ。複数の電子メールクライアントをサポートし、通話中に電子メールの送受信を行えるマルチタスク機能を備える。

 PDAライクな「E61」

 “オールインワン型”とうたうE70は、カバーを開いて180度回転させるとフルキーボードが現れ、両手で文字入力を行える端末。PDAよりもスマートフォンの要素を求めるユーザー向けで、ESeriesでは唯一、カメラ(2メガピクセル)も装備する。ほかのモデルがカメラを搭載していない理由についてNokiaは「企業の中には社内でのカメラ利用を禁止する動きがあるため」としている。

 一見、ストレート型端末のように見える「E70」


 カバーを開くとフルキーボードによる入力が可能になる

 3モデルとも、2006年第1四半期に提供を開始。価格は350〜550ユーロ程度になる見込みだ。

 PDAライクなE61は、Nokiaには珍しいフォームファクターで、同社が「Blackberry」や「Treo」を意識していることが分かる。同社では「スマートフォンで培った技術力、複数の無線技術をサポートできる点、電子メールクライアントなどユーザーが好みのソリューションを選択できる点で差別化できる」としている。無線間のハンドオーバーについては、アプリケーションではほぼ問題ないだろうと述べている。

 同社はまた、企業利用における最大の懸念であるセキュリティ面について、先日発表した米Symantecとの提携に触れながら(10月6日の記事参照)、ESeriesでは企業のITポリシーを実装しやすくしている点もメリットになると強調した。

 ESeriesの日本市場への投入については「日本でも展開したいと考えているが、まだ詳細は決まっていない。前向きに検討したい」(ノキア・ジャパン広報)としている。

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