前モデル「A5505SA」(2004年5月の記事参照)の発売から、約1年半ぶりに店頭に並ぶことになる海外データローミング対応機「A5514SA」(9月8日の記事参照)。前モデルはちょっとゴツい外見や豊富な機能からも分かるように、ビジネスマンの利用を意識した端末だったが、新たに登場するA5514SAは、がらりと趣を変えてきた。
厚さ21ミリ、108グラムのスリムで軽量なボディに丸みを帯びた柔らかいラインのデザインを採用。必要最低限の機能のみを簡単操作で行える「スマートモード」や、頻繁に連絡する相手の連絡先に素早くアクセスできる「ペア機能」、36ドットの大きな文字表示が可能な「でか文字」機能を備えるなど、ふだん使いの端末としても違和感なく利用できるのが特徴だ。
このA5514SAについて、ファーストインプレッションをお届けしよう。なお、評価したのは試作機段階の端末であり、製品版では仕様が変わる可能性があることをご了承いただきたい。
A5514SAは日本で使っている端末を、同じ電話番号のまま海外に持ち出して使えるグローバスパスポート対応端末。データローミングにも対応しており、韓国、タイ、台湾、中国ではEメールやEZWebも利用できる(8月30日の記事参照)。
通話可能なエリア | カナダ、アメリカ、プエルトリコ、米領バージン諸島、メキシコ、ハワイ、サイパン、グアム、韓国、中国、タイ、香港、台湾、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド |
Eメール、EZwebの利用可能エリア | 韓国、タイ、台湾、中国 |
開発を手掛けたのは鳥取三洋電機。半透明な中に細かいラインが施された「Sweets」に似た背面処理や(3月24日の記事参照)「A5405SA」(2004年4月の記事参照)をほうふつとさせる先端部のライン、日本語入力システムに「ATOK for au +APOT」を採用している点など、同社端末の特徴が随所に見られる。
メインディスプレイには2.2インチ26万色のTFTカラー液晶(QVGA)、背面のサブディスプレイには1インチ6万5000色のカラーSTN液晶(64×96ピクセル)を採用。カメラユニットは131万画素のCMOSセンサーで、最大1280×960ピクセルでの静止画撮影が可能だ。外部メモリスロットは備えていないが、内蔵メモリのデータフォルダ容量は18Mバイトと比較的大容量。5MバイトのBREW専用メモリも装備している。
特徴的なのは、やはりスリムなボディ。薄型WIN端末の「W31T」には及ばないものの、左右、両端がなめらかに絞り込まれたデザインになっており、スペック以上にスリムな印象を受ける。
テンキーは大きく平らなフレームレスキー。平らなキーの場合、入力のしやすさが気になるが、このキーの使い心地は悪くない。同じく平らなフレームレスキーを備える「PENCK」と比べてみたところ、A5514SAのほうがキーストロークが確保されていて入力しやすかった。
「スマートモード」はメニューに必要最低限の機能が表示され、長押しのオペレーションを基本的に排除している。メール作成もウイザード形式で行えるなど、使いやすさ重視のユーザーインタフェースが採用されている。フォントサイズが自動で拡大されるなど、子どもやシニア層の利用を意識している印象を受けた。
データローミング端末がここまでコンパクトなサイズになったことも大きなトピックだが、実はデータローミング端末でありながら、ほかのスタンダードな1X端末と一緒に並んでいても違和感がない普通さ、敷居の低さを実現したのがこの端末の大きな魅力なのかもしれない。
KDDIによれば、メインターゲットは「よく海外旅行に行く20代の女性や海外で仕事をするビジネス層、短期の語学研修などで渡航する学生に加え、韓流ブームで韓国に行く機会の多い奥様方やシニア層」(KDDI広報)。価格も1万円程度と比較的購入しやすいラインになる見込みだ。
なおA5514SAは、同時に発表された「W31SA II」「A5516T」とともに、KDDIデザイニングスタジオで先行展示されており、手にとって見ることができる。
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