モバイルミュージックの世界を変革する――iTunes携帯「ROKR」(1/3 ページ)

» 2005年09月08日 21時42分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

 米Apple Computerは9月7日、米カリフォルニア州サンフランシスコでプレス関係者向けに特別イベントを開催した。2年前からスタートしたこのイベントでは、音楽関連の新製品やサービスの発表が行われるのが通例だが、少し前に経済紙やIT関連媒体を中心に「iTunes携帯いよいよ登場か」「ビデオ再生機能搭載のiPod新製品発表か」といった報道や噂が飛び交い、多くの注目を集めていた。そしてその噂は、とうとう現実のものとなった。

 いよいよ登場したiTunes携帯、その名は「Motorola ROKR」。これは第1世代の製品で、今後iTunes携帯は別のベンダーなどからも登場する可能性がありそうだ

4度目の正直で、いよいよiTunes携帯が登場へ

 2004年夏の米Appleと米Motorolaの提携発表以来、iTunesを搭載したMotorola製携帯電話登場の話題は、幾度となく登場し、また消えていった。製品自体は完成しているものの、対応携帯キャリアとの調整などもあり、発表が難航していたというのが実際のようだ。

 筆者が把握している範囲でも、3月上旬のパリの携帯イベント、3月下旬の米フロリダ州マイアミの音楽イベント、8月下旬の米Motorola本社のある米イリノイ州シカゴの新製品発表イベントで、それぞれiTunes携帯の発表が行われるとされていたが、直前になり発表延期となっている。シカゴのイベントでMotorola CEOであるEd Zander氏は「66日以内にiTunes携帯を発表できる」と予告していたが、今回のAppleの特別の発表で、ようやく4度目の正直が実現したことになる。

 特別イベントの進行役を務めた米Apple CEOのスティーブ・ジョブズ氏はiTunesに関する発表を一通り終えた後、「さて、本日は2つの大きな発表がある。その1つめはこれだ」と述べ、スクリーン上には待望のiTunes携帯「Motorola ROKR」(9月8日の記事参照)が映し出された。「ROKRは、クアッドバンドのGSMに対応し、カメラとステレオスピーカー、ステレオヘッドフォンジャックを搭載した高機能な携帯電話だ。そして何より注目すべきは、iTunes Playerが組み込まれていることで、100曲を搭載でき、音楽やオーディオブック、ポッドキャストを楽しむことができる」と、iTunes搭載が最大のフィーチャーであることを強調した。

 ROKRとiPod Shuffleとの比較図

 ROKRはワンボタンで音楽機能をすぐに呼び出すことができ、PCやMacとの接続もUSBケーブルで接続できる。PC上でiTunesが起動している状態で携帯電話を接続すると、iTunes上に携帯電話のアイコンが現れ、Autofill機能を使って簡単にプレイリストの転送が行えるようになっている。この操作感覚は、iPod Shuffleのそれに近い。実際、プレゼンテーションのスクリーン上ではROKRとiPod Shuffleの比較図が示されるなど、ROKRがグラフィカルインタフェースを搭載したiPod Shuffleのような位置付けであると見られる。

 ROKRのもう1つの特徴が、自動一時停止機能。ジョブズ氏が壇上でROKRによる音楽再生デモを披露したところ、突然そのROKRに電話がかかってきた。同氏が電話に出ると音楽は自動で一時的にストップし、通話が終わった段階で音楽再生が再開する。このあたりは、携帯電話ならではの機能だ。イベントでは、今週末ごろからオンエアが開始されるROKRのテレビCMが紹介されたが、この特徴をクローズアップしたものとなっている。このCMは現在専用のサイトで確認できる。3バージョン用意されており、2つが英語版、残りがスペイン語版だ。

 iTunes携帯を宣伝するCingularのTVCM。スペイン語バージョンだけ曲調がサルサに変化する点に注目

 また壇上にはiTunes携帯発表に際して、同携帯を開発した米Motorolaのモバイル機器部門プレジデントのロン・ガリケス氏と、米携帯キャリア最大手のCigular WirelessのCOOであるラルフ・デ・ラ・ベガ氏が招かれた。Garriquesは「Motorolaはモバイルミュージックの分野のリーディングプロバイダだ。音楽と携帯電話の“fusion(融合)”を実現し、モバイルミュージックの世界を変革させる」と自信を見せる。そして、米国で携帯向けiTunesサービスを独占的に提供することとなったCingularのベガ氏は、ROKRのバッテリの持ちについて次のようにコメントしている。

 左は米Motorolaのモバイル機器部門プレジデントのロン・ガリケス氏。右は米Cigular Wireless COOのラルフ・デ・ラ・ベガ氏。同氏は現在ハリケーンの影響で被災地となっているルイジアナのインフラ復興で走り回って非常に忙しいなかでの登場だ

「携帯電話で音楽再生を行うということで、みなさんがいちばん気にするのはバッテリ持続時間だ。私は昨日、オフィスを出てアトランタ空港から飛行機でサンフランシスコへと移動し、1時間のカンファレンスの後にホテルに入って就寝、そして翌朝起きるまで、飛行機以外の場所では携帯電話をオンにして何度か通話や音楽再生を行ったが、まだバッテリ残量表示は問題ないことを示している」

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