「700iシリーズ」の3つの狙い(1/2 ページ)

» 2005年02月02日 19時17分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 NTTドコモは2月2日にFOMAの新シリーズ「700iシリーズ」を発表した(2月2日の記事参照)。3月〜4月商戦に向けて、順次発売する。

700iの3つの狙い〜コスト削減

 700iには、大きく3つの狙いがある。

 まず第1は“コスト削減”だ。決算発表のたびに繰り返しドコモが言ってきたように、PDC(ムーバ)に比べてFOMAはコストが高い。その結果、FOMAが売れるほど、ドコモの収益を圧迫する結果となってきた。安価なFOMA──。それが700iに課せられた課題の1つだ(2004年11月26日の記事参照)

 具体的には、「調達価格は(90xに比べて)1万円程度下がる。ムーバと同価格だ」とプロダクト&サービス本部プロダクト部長の永田清人氏。ドコモは具体的な店頭販売価格を示していないが、仮に90xシリーズと同等のインセンティブ(販売奨励金)を乗せたとすれば、90xシリーズより1万円安──都内量販店の新規価格で2万円弱の店頭価格となると推測できる。

 価格を抑えるために、さまざまな点で工夫を凝らした。どうやって1万円安を絞り出したのか。「(700iは)901iのプラットフォームをそのまま使っている。700iのためにゼロから開発すると開発費がかかるからだ。901iを作るときから、サブセットモデル(700i)を作ることを考えて開発を進めた」(永田氏)

 そのため端末のプラットフォームも901iと共通だ。「F700i」はSymbian OS、「P700i」「N700i」はLinuxを使っている(2004年11月18日の記事参照)

 機能も901iに比べて削減した。カメラはメガピクセル止まりとし、アプリ機能は506i相当とした。3Dサウンド機能やFeliCa機能も非搭載だ(→機能についての詳細記事)

 「(FeliCaは)コスト面と形状面で、700iに入れるのは少し早いと考えている」(永田氏)

狙いその2〜FOMAの拡販

 2つ目の狙いはFOMAの拡販だ。900iと901iで急速に契約者数を伸ばしているFOMA。しかし「2005年度末にFOMAとPDC(ムーバ)の契約者数を逆転する」というドコモの移行予測(2004年11月8日の記事参照)を実現するには、FOMAの普及モデルが欠かせない。

 「3Gの契約ナンバーワンにもっていきたい。そのためには(端末の)バリエーションが必要だ」(永田氏)

現在、3G契約者数ナンバーワンはKDDIで、約1700万。ドコモは850万契約だ(1月11日の記事参照)

 700iの投入により、FOMAの最新ラインアップは901iが5機種、700iが4機種の合計9機種となる。

 ただし、700iシリーズがFOMA契約のボリュームゾーンを狙うとは言い切れない。「901iに搭載されているFeliCaを推進したいし、こういった新サービスは新しい収入にもなる」(永田氏)ため、901iの拡販も必須だからだ。「90xと70xの比率は5分5分。機種数見合いで90xのほうが多いかもしれない」(永田氏)

狙いその3〜商品ポートフォリオ構築

 狙いの最後、3つ目は商品ポートフォリオの構築だ。ムーバ(PDC)からFOMAへの移行期に混乱していたドコモの商品ポートフォリオだが、700iの投入によっていったん落ち着いた。

 ドコモは、大きく3つのセグメントに対して端末をシリーズ化していくという戦略を採る。

 901iシリーズとPDCを使った企画端末のちょうど間に位置するのが700iシリーズだ。ハイエンドラインの「90xシリーズ」に対し、700iシリーズは「今回はもっと親しみやすい、多くのユーザーにFOMAを使ってほしい」と、永田氏は説明する。

 最先端の高機能を搭載する90xシリーズ、機能を絞り込む代わりに小さくスタイリッシュで低価格な70xシリーズ。そして、90x・70xといったシリーズモデルでは対応しきれないニッチ層を狙うコンセプトモデル(PDCの企画端末)だ。

 実際、700iシリーズでは機能を削った代わりにコンパクトなボディを実現した。平均で容積は100cc、重さ110グラムを切っている。「901iに比べると非常にコンパクトだ」(永田氏)

一部オーバーラップする部分もあるが、901iに比べて700iは明らかに体積でも重さでもコンパクトだ
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