携帯にもMMXとSpeedStep〜Intel「PXA27x」発表

» 2004年04月12日 17時42分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 米Intelは4月12日、コードネーム「Bulverde」こと「PXA27xプロセッサファミリー」を発表した。次世代XScaleとなるPXA27xは、

  • ワイヤレスMMX(関連記事参照
  • ワイヤレスSpeedStep
  • クイック・キャプチャテクノロジ

 といった特徴を持ち、ハイエンドの携帯電話からPDA全般をターゲットとする。

 現在サンプル出荷中で、量産出荷は4〜6月。単体の「PXA270」のほか、フラッシュメモリとスタック(重ね合わせ)した、「PXA271」「PXA272」「PXA273」がラインアップされる。PXA270の価格は1万個受注時で32ドル。

 併せて、PXA27xと組み合わせて利用するグラフィックアクセラレータチップ「2700G」も投入する。ワイヤレスMMX向けにチューニングされたグラフィックスチップで、SXGAまでの解像度でデュアルディスプレイをサポート。720×480ピクセル・30fpsのMPEG-2動画の再生が可能なほか、3Dレンダリング性能は毎秒94万4000トライアングルに達する。価格は1万個受注時で17ドル。

PCで培った命令をXScaleベースに

 PXA27xは、従来のPXA255などのプロセッサに新機能を追加したものだ。0.18μmのプロセスルールやキャッシュ容量などに変更はない。

 新機能のひとつ「ワイヤレスMMX」(関連記事参照)は、マルチメディア処理を高速化する新命令だ。PC向けのMMXと互換性が高く「PCで培った技術とアプリケーションをXScaleベースのチップに移行できる」(インテル)特徴を持つ。Intelによるとマルチメディア系処理において、ワイヤレスMMX付きの624MHzのプロセッサは、「ほぼ800MHz相当の処理性能を達成できる」(インテル)。

 ワイヤレスSpeedStepは、クロックと電圧を可変させる技術の総称だ。これまでもPXAシリーズは動作中に2種類のクロック変更が可能だったが、ワイヤレスSpeedStepはクロックに合わせて電圧も可変とすることで、さらに低消費電力化を図る。

動作周波数 コア電圧
13MHz 0.85V
312MHz 1.1V
624MHz 1.55V
ワイヤレスSpeedStepの周波数とコア電圧の組み合わせの例。Run/ハーフターボ/ターボの3つのモードが用意され、パワーマネージャーと呼ばれるソフトが負荷状態に合わせてモードを切り替える。数クロックかければ、設定クロック自体を変更することも可能になっている

 ワイヤレスMMXとワイヤレスSpeedStepの組み合わせによって、30〜77%の省電力効果が見込まれるとIntel。

PXA27xで消費電力が削減される仕組み。ワイヤレスMMXによって高速に処理を行い、待ち時間の間は、ワイヤレスSpeedStepによってすかさずアイドル状態に落として電力消費を抑える
動作 PXA262搭載端末(電池900mAh) PXA27x搭載端末(電池900mAh)
MP3を聴く 10.9時間 15.5時間
TV電話(QCIF) 1時間 1.3時間
ビデオ撮影(QVGA) 1.63時間(17fps) 2.66時間(24fps)
動画再生(QVGA) 3時間 5.3時間

 PXA27xは、アプリケーションプロセッサとコミュニケーションプロセッサ(ベースバンドチップ)を結ぶ、新しいバス「モバイルスケーラブルリンク」(MSL)にも対応している。現在のところ接続できるのはMSLに対応した「PXA800F」や「Harmon」のみとなるが、最大416Mbpsの通信速度を持つ。

IntelのPXA27x搭載携帯電話のリファレンスプラットフォーム。トライバンドのGSM/GPRSとBluetooth、IEEE802.11bに対応。MicrosoftのSmartphoneやSymebian OS、Linux、Palm OSなど複数のOSが利用できる。カメラはフラッシュ付き130万画素、ディスプレイはタッチパネル付きのQVGA。SDIOやUSB OTGにも対応している

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