“タッチ”で認証〜Nokia、Philips、ソニー、NFC Forum設立CeBIT 2004

» 2004年03月18日 22時11分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 Nokia、Philips、ソニーの3社はドイツ・ハノーバーで開催中のCeBIT 2004にて、Near Field Communication (NFC) Forumの設立を発表した。2003年末に国際標準規格(ISO)として承認されたNFCを(2003年12月の記事参照)、さまざまな業界に広く参加を呼びかけるのが目的。

 NFCは、非接触ICチップであるソニーのFeliCa、PhilipsのMifareと互換性を持つ近距離無線規格。FeliCaやMifareはリーダー/ライターを使って情報の読み書きを行うが、NFCは自ら電波を発信し、FeliCa/Mifare/NFCとの間で情報のやりとりができる。

 現在のところ、NFCが規定するのは通信の物理層のみだが、フォーラムでの活動を通じてどんな応用アプリケーションがあるか探っていく。ソニーの上席常務青木昭明氏は「NFCは家電機器の新しいブリッジ(橋)」だと述べ、PDAやPC、デジタルカメラに留まらずオーディオ機器やテレビ、カーナビゲーションなどがNFCを通じて接続される構想を披露した。

 中でも、NFCデバイスの中心的存在が携帯電話だ。元々ソニーとPhilipsの2社が進めていたNFCに、今回Nokiaが参加している理由はそこにある。

 Nokiaは、「Mobile RFID Kit」という名称の携帯電話を発表。Nokia Mobile Software副社長のティモ・ポイコライネン氏は「NFCは簡単にコンテンツにアクセスできるニューパラダイムだ」と述べ、携帯電話とリアルとの連携に期待を見せた。

左はソニーのNFCデモ。ポスターにFeliCaチップを貼り付けておき、(1)NFC内蔵PCでポスターからデータを読み取る (2)デジタルテレビに接続されたNFCにPCをかざすと、ポスターの番組が再生させる というもの。双方向通信が可能なNFCの特徴を生かして、テレビからPCに番組のクーポンを配信するといったデモも行われた。右はNokiaのデモ。非接触ICカードに記載されたURLをRFID Kitの携帯電話で読み取って、Webにアクセスする。ちょうどFeliCaのリーダーのような役割を携帯が果たす
こちらはPhilipsのデモ。ソニーと同じくポスターに張り込まれたデータをNFC内蔵の携帯電話で読み取り、NFC内蔵のPCにタッチすることで、ポスターのWebページを表示する

キーワードは“タッチ”と“認証”

 近距離無線通信規格には、BluetoothやIrDA(赤外線)なども存在するが、「NFCはこれらを置き換えるものではない」とNokia。大きな違いは“タッチング”だと話す。

 非接触ICチップと互換性をもつNFCは、数十センチという極めて短い距離で動作する。利用には“タッチ”が必要であり、Bluetoothなどに比べて認証操作が分かりやすい。

 ソニーの青木氏は、NFCの特徴として 1)シンプルにトランザクションを行うのに最適 2)データ交換が簡単 3)セキュアであること を挙げた。例えば、デジカメで撮影した画像をPDAに転送するのに、NFCを使えば複雑な操作をすることなく、機械を近づけてタッチさせるだけでいい。

 NFC自体は最大424Kbpsのデータ通信が可能だが、NFC Forum各社は、NFCを認証だけに利用し、実際のデータ転送はWiFiやBluetoothなどを利用する構想を持っている。

携帯電話を使って音楽の“権利”を購入し、権利情報をNFCネットワークを使ってPCに転送、楽曲自体はPCがインターネットからダウンロードするという構造図

 現在のところNFCが規定しているのは物理層のみだ。認証の仕組みや、どのようなアプリケーションを動作させるか、またNFCチップ内のアプリケーションにPCやPDAなどからアクセスする際のインタフェースなどの規定は、まだこれから。どのような応用アプリケーションが考えられるかも併せて、NFCを実用化する上での課題となる。

NFCは標準化済みのIP-1でFeliCaおよびMifare(TypeA)の物理層を包含した規格となっている。IP-2ではTypeBやRFIDタグも盛り込む予定。ただしファイルシステムやコマンド体系などは規定しておらず、別途FeliCa OSなどと組み合わせる形になる

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