XScaleの現在と将来──米Intelに聞く(2/2)
XScaleがPCAの中で果たす役割ZDNet:Intelはモバイル通信機器のフレームワーク,PCA(Personal Internet Client Architecture)を推進しています(2001年4月の記事参照)。PCAの中で,XScaleはどのような役割を果たすのでしょうか? Peter:PCAには3つの要素があります。まずメモリのサブシステム,そして通信のサブシステム,最後にアプリケーションのサブシステムです。XScaleは,アプリケーションのサブシステムのほか,ベースバンド(通信)のサブシステムにも影響力を持っています。Intelは,XScaleをベースとしたベースバンドチップセットを将来出したいと思っています。 XScale用に開発されたコードは,通信(ベースバンド)のほうとアプリケーションプロセッサのほうと,どちらでも利用できるようになります。機器メーカーから見れば,投資も少なくて済むし,(ソフトウェアコードなど)投資内容を再利用できるということでもあります。 ZDNet:ベースバンドチップではMSA(Micro Signal Architecture)を押し進めていましたが(2000年12月の記事参照),そちらとはバッティングしないのですか? Peter:ベースバンドチップの中には,XScaleのCPUとMSAが入ります。MSAのほうで通信用のソフトウェアスタックを駆動させ,XScaleがアプリケーションを駆動させます。これが,PCAのシングルチップソリューションとなります。
DSPベースのものと比べて,ソフトウェア開発が容易にZDNet:通信機器メーカーなどいろいろなところが,PCAのように標準規格を提唱していますが,PCAの利点はどこにあるのですか? Peter:PCAでは,通信部分とアプリケーションを明確に独立させるという意図があります。ほかの規格と異なりPCAのみが,アプリケーションソフトウェアを汎用CPU対応として書くことができます。 例えば,Texas Instruments(TI)のOMAP(2001年2月の記事参照)ではアプリケーションのほとんどのコード部分をDSP向けに書かなくてはなりません。これは“アセンブラで書いている”,といったようなものです。PCAで目指しているのは,アプリケーションをすべて汎用CPU向けに書いてもらうことです。そうすれば開発時間を非常に短縮できます。 ZDNet:XScale単体とDSPベースのアプリケーションプロセッサを比べた場合,消費電力の面や単純な性能ではDSPベースのほうが有利ですが,XScaleのような汎用プロセッサの場合,ソフトウェア開発でメリットがあるということでしょうか? Peter:そうです。XScaleのパフォーマンスは,これまでDSPがやってきたことを汎用CPUで対応するのに十分なものです。アキュムレータ(積和演算機)が既に入っていますし,DSPの機能はほとんどカバーしていると考えていいと思います。
ローエンド携帯電話のXScaleソリューションはシングルチップで
ZDNet:XScaleは,ハイエンドの携帯電話向けをうたっていますが,ローエンド端末向けには,低価格なアプリケーションプロセッサを提供するのですか? それともシングルチップソリューションを用意するのですか。 Peter:ハイパフォーマンスな端末には,アプリケーションプロセッサを別個に持つというアプローチ。そしてローエンドにはより集積度の高いシングルチップをあてていきたいと思っています。 ZDNet:低価格な端末向けにもアプリケーションプロセッサを用意しているメーカーもありますが,ローエンド向けにシングルチップを持ってくる理由は何ですか? Peter:シングルチップを使う理由は2つあります。1つはコストです。2つ目は,システム性能的に低消費電力を実現するということ。消費電力は抑えながらも高いMIPS値を出すということです。 ZDNet:ハイエンドをシングルチップにしないのはどうしてですか? Peter:将来的にはハイエンド向けにも,(ベースバンドチップと)アプリケーションプロセッサとシングルチップの両方の選択肢を用意します。どちらもXScaleが入っていれば,コード開発の投資を最小限にとどめることができます。
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