携帯を請求書代わりに公共料金支払い──三菱商事特殊なハードウェアを必要とせず,一般の携帯電話で認証が可能な2次元コード。紙の請求書の代わりに,この2次元コードと携帯電話を使い,公共料金などの支払いに利用しようという試みが,秋を目処に始まろうとしている。
“会員登録する必要もなく,Webで予約をしたら携帯電話に2次元コードが配信され,読み取り機にかざすだけで公共料金などが支払える……” 2月6日,千葉・幕張メッセで開催されているNET&COM2002の三菱商事ブースでは,そんなことを実現する個人認証・決済システム「モバイルシンボル」が展示されている。 モバイルシンボルは,2次元コードの生成・表示のASPサービスや読み取り機の提供,収納代行・通信処理サービスなどを柱にしたトータルソリューションだ。2002年秋を目処に,市場への導入を進め,携帯電話を利用した認証・決済システムのデファクトスタンダードを目指す。 「秋には公共料金の一部でサービスをスタートできそうだ。またいくつかの運輸業では,Webで予約して2次元コードを配信し,チケット代わりに使う話が進んでいる」(三菱商事自動車本部ベリコード事業ユニットの千田隆平シニアテクニカルコーディネーター)
携帯電話に画像として2次元コードを配信する。下にあるのが読み取り機。読み取りは瞬時に完了する
紙の請求書やチケットの代わりに携帯を利用モバイルシンボルを使った認証・決済の流れは以下のようになる。 (1)Webでチケット,商品,サービスなどを購入した際にモバイルシンボルを決済手段として選択し,携帯電話のメールアドレスを入力する。 (2)すると携帯電話にURLが記載されたメールが配信される。URL先には,画像として2次元コード(MSコード)が表示される。この2次元コードが,紙の請求書やチケットの代わりになる。 (3)2次元コードを,最寄りの店舗に設置されている読み取り機にかざし,店舗のPOS端末に表示された金額を支払って手続きが完了する。 従来の紙の請求書では,発行から郵送まで時間がかかっていた。また料金支払い後も,処理がバッチで行われ,支払いの確認に時間がかかる場合が多かった。 モバイルシンボルサーバは,設置済みの2次元コード読み取り機の間でネットワークが構築されており,「リアルタイムで収納情報が確認できる。例えばプリペイドカードの料金充填などもリアルタイムだ」(千田氏)。 また,通常のバーコードと比べて2次元コードは情報量が多く,誤り訂正が強力なのも特徴。「会員証などに利用する場合も,コード自体に名前や生年月日などの個人データを持たせられる」(三菱商事)ため,認証精度を向上することができる。 2次元コードはバーコードと比べて一般に普及していないため,読み取り機の価格が高いのがネックだったが,「導入の規模にもよるが,大幅に安くなってきた。10万円以下になってきている」(千田氏)。 2次元コードを生成し携帯電話に配信する機能は,ASPサービスとして提供し,初期の開発費用を大幅に抑えられるようになっている。
大規模事業者がターゲットだが,パッケージの予定も当初のターゲットは公共料金や運輸業などの大規模事業者。「大きいところを狙って価格を落としていきたい」(三菱商事) ただし,2次元コード配信やネットワークなどで共通のインフラを利用するため,インフラが整ってきたらポイントカードなどへの利用も想定している。安価なパッケージ製品の投入も予定している。 2次元コードの配信に対応しているのは,PHSを除くブラウザ搭載の携帯電話。現行の端末はもちろん,出回っている百数十機種に既に対応している。「技術的には問題はない。1種の公共的なインフラなので,勢いをつけていきたい」(千田氏)
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