FOMA端末はかなり高くなる?──あまり売れては困るドコモドコモが5月に開始する「FOMA」は3年間で契約者500万人というのんびりとしたペース。つまり,端末の値段も,通信コストも安価にはなりえないことを意味している。
第3世代の携帯電話(3G),IMT-2000としてマスコミでもFOMAが騒がれ始めた。既にドコモショップにはコンセプトレベルのモックも展示が始まり,期待感を煽っている。 5月30日のサービス開始まであと3カ月弱。503iシリーズという新機種が続々登場している現在でも,「FOMAを待ったほうがいいのかも……」と思う人もいるかもしれない。 相当のんびりした,FOMAの普及ペースしかし,やはりFOMAは“高級機”という位置付けで発売されるもようだ。2月28日にNTTドコモの大星公二会長は「IP.net JAPAN 2001」で講演し,FOMAの今後のロードマップを語っている(2月28日の記事参照)。 そのロードマップをまとめると,以下のようになる。
ドコモが予定しているFOMAの契約者数は,サービス開始から約2年後の2003年3月でも200万人程度,全国展開が完了している2004年3月でも,500万人程度だ。3月5日現在,iモードはスタートから2年少々で加入者2000万人を突破した(3月5日の記事参照)。そのペースと比べると“あまりにのんびりしている”ともいえる。 その理由の1つは設備拡張のペースにある。IMT-2000サービスには途方もない額の設備投資が必要となる。ドコモは2004年3月の人口カバー率97%達成までに,1兆円以上の設備投資額が必要になると予想している。それでも,加入者キャパシティは1600万人程度だ。 cdmaOneの普及ペースと比較しても,FOMAがいかにゆっくりとしたペースかが分かる。cdmaOneは,1998年7月に関西,九州,沖縄でサービスが開始され,10カ月後の1999年4月には全国展開が終わっている。その後,加入者500万人達成に1年しかかかっていない。500万人を獲得するのにcdmaOneが1年10カ月,FOMAは3年の計画というわけだ。 FOMAへの移行が早すぎると困るドコモもちろん,トップシェアのドコモを追うcdmaOneと,首位を守りながら新世代に移行するFOMAではスタンスも違ってくる。ドコモは,1年後の見込み加入者数をフォローできる設備投資を行っていくが,あまり急速にFOMAへの乗り換えが進むと,キャパシティ不足に陥る可能性もある。 また,IMT-2000サービスは日本が世界に先駆けて提供することも忘れてはならない。巨額の投資が必要な上に,どんな問題が発生するかも分からない。ある意味初年度は実験的なサービスとさえいえる。じっくりと問題点を洗い出しながら展開していこうというのが本音だろう。 現行のPDC方式は音質も悪く,都市部では基地局の密度も限界に近づいている。これ以上はユーザー数を増やしたくても厳しい状況なのは確かだ。しかし,PDC方式を早々に捨ててFOMAへの移行を急ぐほど追い詰められていないのも事実。まだPDCの競争力があるうちに,FOMAを安売りする必要はない。 そのような理由で,FOMAは“みんなが飛びつく魅力的なサービス,端末”とはならない可能性が高い。ある関係者によると「FOMAはPDC端末よりも3万円くらい高くなるのではないか」とも言われている。また,通信コストに関しても,10分の1にしてもまだ高いのに(2月23日の記事参照),ドコモが大幅な値下げを明言したことはない。 P503iでは,3万円という価格ながら,発売後1カ月たたずして23万台の契約があった。FOMAの場合,首都圏のみの発売とはいえ,そんなペースで売れては困るのである。発売当初は,端末も通信コストも高く設定し,加入者の様子を見ながら徐々に価格を下げていく……。そんなシナリオも考えられる。 さらに明らかになったFOMAのサービス大星会長の講演で,FOMAのサービス内容もさらに明らかになった。
マルチコールサービスとは,音声とパケット通信の両方を同時に接続して利用できるものだ。端末にBluetoothなどの近距離無線装置が内蔵されれば,PCからFOMA端末を使ってダイヤルアップしながら,音声通話を行うことも可能であろう。 次世代iモードサービスも概要が公開された。
ほとんどが既知のことだが,JPEGやMIDIの添付メールに対応するという発言は新しい。実際,503iシリーズではJPEGが表示できる機種がいくつかあるし,MIDIに対応した機種も登場してくる。当然,FOMA端末はJPEGの表示やMIDIの演奏にも対応すると見ていいだろう。 関連記事 [九条誠二,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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