“給料泥棒”が続く、松坂大輔に残された引退までのタイムリミット:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/3 ページ)
日本球界に復帰した、元メジャーリーガーの松坂大輔投手が苦しんでいる。開幕して2カ月以上が経過したが、公式戦一軍マウンドにはいまだ立てていない。周囲からはそろそろ“結論”を出すころではないか、といった声も聞こえてくる。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
もう猶予はない。福岡ソフトバンクホークス・松坂大輔投手のことだ。5月24日に予定されていたウエスタン・リーグ、広島戦での登板を直前で回避。開幕前に右肩の筋疲労を訴えていたベテラン右腕の復帰ロードには再び暗雲が垂れ込めてきている。
本来ならば、このウエスタン・広島戦は二軍戦ながら日本復帰後2度目の公式戦登板となるはずだった。4日前のウエスタン・オリックス戦で2カ月ぶりに実戦登板。2回2安打1失点(32球)というピリッとしない内容に終わり、制球は相変わらず悪く直球も最速142キロと往年の切れ味は見られなかった。周囲を不安がらせていた松坂は中4日のマウンドで名誉挽回を果たす必要性があった。
ところが、松坂はあっさりと回避してしまった。中継ぎで3イニングを投げる予定だったもののブルペンで肩を作っていた際に調子が上がらなかったことが、その理由という。「まだこういう状態なので、いい時も悪い時もあるだろうと思っていた。今日は試合前のキャッチボールの時点であまり(調子が)よくなかった。ブルペンで投げた感じもあまりよくないと思ったので、回避することにした」とは松坂のコメントだ。
もう開幕して2カ月以上が経過した。8年間のメジャーリーグ生活で培った経験と能力を買われ「優勝請負人」としてホークスに移籍してきたはずだが、9年ぶりとなる日本プロ野球の公式戦一軍マウンドにはいまだ立てていない。辛口のホークスOBの中からは「ホークスは人気と話題だけでかつて『怪物』と呼ばれた男を獲りにいったが、その当人が客寄せパンダとしての仕事もしてもらえないのだから大きな買い物をしてしまった」という声も聞こえてくる。しかし、それもこういう状況になるとあながち的外れとは言い切れなくなってくる。
二軍戦を登板回避する前の段階だが、ホークスの工藤公康監督は松坂の一軍合流時期について「(二軍戦で)100球くらい投げたらね。実績も経験もあるから。みんな早く一軍で投げる姿を見たいでしょう?」と語っていた。とはいえ、こうなると「100球を投げられる日なんて本当に来るのか」と疑いの目を向けたくもなる。もしそのノルマを二軍でクリアできないまま、首脳陣が松坂を一軍に上げてしまえば結果はほぼ見えているだろう。残念ながら現状で松坂が一軍のマウンドに立って快投する姿を想像できる人はよほどの楽観主義者か、もしくは超プラス思考の持ち主と言わざるを得ない。
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