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なぜ「ゴキゲン・ワーゲン」? 悩めるフォルクスワーゲンの新ブランド戦略どうしてこうなった

15年連続で輸入車登録台数No.1。GolfやPoloなど人気車を擁するフォルクスワーゲンは、日本市場におけるある“悩み”を解決するため日本独自の思い切ったキャンペーンを実施する。そのキャンペーンとは……?

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 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは4月21日、「フォルクスワーゲン 新ブランドコミュケーションについて」と題した発表会を行った。発表会に登壇したのは、同社社長の庄司茂氏だ。庄司氏によれば、フォルクスワーゲン ジャパンには、とある「悩み」があるのだという。

ブランドイメージが「薄い」

 日本市場におけるフォルクスワーゲンは、15年連続で輸入車登録台数No.1。販売台数の実績がある半面、ゴルフやポロといった個別の車種のイメージは強いものの、“フォルクスワーゲン”ブランド全体としての印象が薄い、という調査結果がある。


他の輸入車メーカーに比べて、ブランドイメージが薄い

フォルクスワーゲン ジャパンは、2013〜2014年に2年連続で過去最高の販売台数を更新中。しかし約6万7000台という販売台数は、日本全体の全乗用市場のシェア1パーセント前後にすぎない

 「輸入車ナンバーワンなのに、薄いイメージ……これが悩み。フォルクスワーゲンブランドの輪郭をハッキリさせたい」(庄司氏)

 フォルクスワーゲンブランドを強くする、という目標を掲げ、顧客との接点を見直し、360度あらゆる顧客視点でブランド価値を上げていく、とする。「(フォルクスワーゲンの)ターゲットは『ライフスタイリスト』。ライフスタイリストとは、見かけだけ、格好だけではなく、充実した生活を送る人。ライフスタイリストそれぞれに合ったクルマを提案していく」(庄司氏)

 フォルクスワーゲンブランドには二つの側面がある、と庄司氏は話す。一つは「プロフェッショナル/質実剛健さ」そしてもう一つが「人のために存在/人に愛される側面」だが、日本においては後者が弱かったと指摘する。「人と共にある、愛されるクルマであるフォルクスワーゲン。このブランドイメージの強化に力を入れる」

 もう一つ、これからはフォルクスワーゲンジャパン自身が「ワーゲン」という愛称を自称していくという。日本ではフォルクスワーゲンを略して「ワーゲン」と呼ぶ人が多いが、ワーゲンはドイツ語で「クルマ」の意味。そのため、フォルクスワーゲン ジャパンが「ワーゲン」と自称することはなかった。

 「これまで『ワーゲン』という愛称は封印していたが、解禁する。あえてタブーをやめて、これからは『ワーゲン』と自称する。ドイツ本社には『何を言っているんだ』と言われたが、お客様に寄り添う身近なブランドを目指す」(庄司氏)


フォルクスワーゲンの二つの側面

新ブランドは「ゴキゲン・ワーゲン」

 こうした説明の後に発表された、フォルクスワーゲン ジャパンの新ブランドスローガンが「ゴキゲン♪ワーゲン」だった。日本だけで、独自で展開するブランドキャンペーンだという。


フォルクスワーゲンの新ブランドキャンペーン名は「ゴキゲン♪ワーゲン」。親しみやすさや「ゴキゲン♪」な毎日を訴求していくという

フォルクスワーゲン ジャパンの社員は、ゴキゲン♪名刺に切り替わる

 4月22日から「ゴキゲン♪ワーゲン」のテレビCMが放映されるほか、フォルクスワーゲン社員の名刺は「ゴキゲン名刺」に切り替わるという。特にテレビCMは庄司社長自身も「一部脱力感も感じるCM」と話すほどの“ゆるふわ系”だ。

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「ゴキゲン♪ワーゲン」のテレビCM。庄司社長も「一部脱力感も感じる」というほどの脱力系CMだ

 また、4月21日から5月11日まで期間限定で「Try VWキャンペーン」を行い、フォルクスワーゲン正規販売店に来場した応募者の中から抽選で500人に、ワーゲンバスをかたどったトースターをプレゼントするなどして、親しみやすさを訴求していくという。


通称「ワーゲンバス」こと「Type2」をかたどったオリジナルトースター。パンを焼くとフォルクスワーゲンのロゴが浮かび上がる

 「毎日のちょっとしたゴキゲンがあったら、そのたびにワーゲンを思い出してほしい」(庄司氏)

 庄司氏はこう述べて発表会を締めくくった。果たしてフォルクスワーゲン ジャパンのブランドイメージは、狙い通り「ゴキゲン」に強化されるのだろうか……。


発表会の最後に「ゴキゲン♪ワーゲン」の看板の前で写真撮影に応じる庄司社長。ゴキゲンというには、笑顔がかなり固かったのが気になる

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