カレーは手で食べろと強く勧められると部下の気持ちが分かる?:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(1/2 ページ)
「うちのカレーは手で食べて、おいしいから」と強く勧められたらどうしますか? 断ってもさらに強く勧められたら……これ、会社に置き換えてみると「あるある」な話なのです。
先日、編集長の吉岡綾乃さんとあるベジタリアン向けインド料理店で打ち合わせがてら食事をしたのですが(あっ、この書き出し久しぶりに使いました)、そこの店員の過剰なまでのフレンドリーさにびっくりしてしまいました。どんなインド料理が好きなのか、どのお店に食べに行ったことがあるのか、と質問してきたり、自分がどこに勤めていたか(全国転々とされているようで、それにも驚きました)今どんな気持ちなのかなど、とにかく一生懸命、話をしてくれます。
帰り道「いやー、ものすごくフレンドリーでしたね」と私がいうと、綾乃さんは「もう一軒、この近くにあるインド料理屋さんはもっとフレンドリーですよ。いや、フレンドリーを通り越して、人によっては『ちょっと面倒』と思うレベル?」と、最後は半疑問形になってしまいました。「食べるときには手で食べなさい、そのスタイルが美味しいから」と強く勧めるのだそうで、ネイルしているので、と女性客が断っても「いや、ネイルしていても大丈夫」と強く勧めてくるらしい。
この話を聞きながら、「ああ、上司も部下に似たようなことをしているな」と、ふと思ったのです。今週もまた、すれ違う上司と部下の気持ちの話を、ほんの少ししてみましょう。
あなたは「部下を見て」アドバイスを行っているか
個人の資質を見極めて、それぞれに適切な指導を行うことが部下の育成であると、頭では皆さんも分かっているはずです。その通りやっていると自負している人もいるかもしれません。しかし、現実には、なかなかそう上手くいかないことがほとんど。そもそも個人の資質を見極めるというノウハウを体系的に学んでいる、という上司はあまり多くないはずです。
結果的に、自分の経験から「彼はこういう人だ」とか「彼女はこういう性格をしている」と判断して、それに合わせて指導するというケースが多くなります。と、ここまで読んだだけで、それが実に難しいことだと分かるでしょう。例えば、経験で個人の資質を判断すると書きましたが、経験が浅い人は判断する材料や軸を持っていません。また、経験が豊富でも、良質な経験を積んでいない人だと、やはりいろいろなことがうまくいかない。さらに、資質を理解できたとしても、その資質に合わせた指導法のバリエーションを持ち合わせている人はとても少ない。
部下を指導する行為自体をシステマティックに教える仕組みを用意しているという企業はあまりありません。ということは、自分が過去に受けた指導、もしくは書籍やセミナーなどで入手した情報をベースに、それこそ手探りで育成をするしかない。そんな状態で、部下の個性を見極めて、資質に合わせて指導するのは、かなり困難なことなのです。
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