日本初上陸のブルーボトルコーヒー、品質管理に強いこだわり:1号店オープン直前
いよいよ日本での第1号店を東京・清澄白河にオープンするBlue Bottle Coffee。これまで10年以上にわたり米国だけで店舗展開してきた同社にとって、日本が初めての海外進出先となる。メンバーの士気は高い。
コーヒー豆の生産地や素材などにこだわり、ハンドドリップで1杯ずつ時間をかけて丁寧に淹れるスタイルを指す“サードウェーブコーヒー”。その代表的なコーヒーショップとして米国の西海岸やニューヨークで人気のBlue Bottle Coffeeが2月6日、日本での1号店「清澄白河ロースタリー&カフェ」を東京都江東区にオープンする。
米国・カリフォルニア州オークランドで2002年に創業した同社は、現在までに全米で16店舗を展開している。2015年は店舗拡大に注力する方向で、満を持して初の海外進出先に選んだのが日本だった。今年新たに12店舗増やす計画のうちの2店舗が、今回の清澄白河と、3月にオープンする青山なのである。
なぜ日本なのか。これは戦略的というよりも、Blue Bottle Coffeeの創設者であるジェームス・フリーマンCEOの思い入れによるところが大きいだろう。フリーマン氏は19歳のとき音楽団の演奏旅行で来日。その際に日本の喫茶店文化に触れた。その体験がBlue Bottle Coffeeの設立にも影響を与えたと言われている。
つまり、サードウェーブというと目新しいトレンドの印象を受けるが、日本では昔からごく自然に喫茶店でのコーヒー提供方法として採り入れられていたものである。そうした意味でも、Blue Bottle Coffeeの日本での開業は、日本のコーヒー文化が米国でも花開き、再び日本に戻ってきたと言っていいかもしれない。
新たな出会いを提供したい
Blue Bottle Coffeeの日本法人であるブルーボトルコーヒージャパンは、約20人(うちバリスタは8人)のメンバーで事業をスタートする。
中核メンバーの1人であるプロダクションマネ―ジャーの森麻美さんは、焙煎やキッチンの材料仕入れ、店舗で使用するカップ類などの品質管理にかかわる部分の統括責任者だ。森さんは外資系大手コーヒーチェーンに10年以上勤めた後、コーヒーの輸入専門会社で、コーヒー生産地を訪れるチャンスにも恵まれた。いわばコーヒーのすべてを知るスペシャリストとしてブルーボトルコーヒーに入社した。
同社の品質管理は米国と同じ基準で行っており、例えば、コーヒーの生豆一粒ごとの水分含有量、焙煎の時間や温度、焙煎後の豆の色加減などさまざまなデータをこと細かく測定し、集計したスコアシートを随時オークランドの本社やロサンゼルス、ニューヨークの各拠点と共有している。そこでゴーサインが出なければ、豆を挽くなど次の作業工程に進めない。こうした徹底したデータ測定などによるグローバルレベルでの緻密な品質管理がBlue Bottle Coffeの強みといえよう。
また、これらのデータは品質管理の担当者だけでなく、バリスタなど全スタッフが閲覧できるため、コーヒーに対する各人の知識の蓄積にもつながるのだという。
「コーヒーは多様性のある食材」――森さんはこう話す。専門店やレストラン、コンビニエンスストア、もちろん自宅と、今やいつでもどこでもコーヒーを飲むことができるし、人それぞれで好みが異なるものである。ブルーボトルコーヒーでは、店舗にやって来る日本の顧客に対し、コーヒーを通じて初めての価値観や新しい出会いを提供できれば嬉しいと森さんは考えている。
コンビニの市場参入などによって、日常でコーヒーに接する機会は以前と比べて格段に増えている。そうした中でブルーボトルコーヒーはどのように顧客のニーズを取り込んでいくのか。日本独自のビジネス展開にも今後注目したい。
【変更履歴】一部事実と異なる箇所があったため、記事初出時から変更しております。訂正してお詫び致します。(2/3 11:50)
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