ワコール、三愛の水着事業を買収 アジアでの収益増狙う:海外展開に弾み
「三愛水着楽園」や「三愛水着イメージガール」でよく知られる三愛グループの水着事業などをワコールホールディングスが買収する。その目的は――。
大手下着メーカーのワコールホールディングスは1月22日、水着などを販売する三愛および三愛スタイル(以下、三愛グループ)の主力事業を買収すると発表した。2015年4月1日付けでワコール傘下の100%子会社として新会社を設立する予定だ。
ワコールホールディングスは、三愛グループの親会社であるリコーから水着事業および下着事業と、対象となる23店舗を譲受する。事業規模は約55億円(2014年3月期の売上実績)に上る。「三愛」「サンアイ」「San-ai」の商標の使用許諾も受ける。
三愛グループは、水着や下着、アパレルなどの企画製造や店舗運営を行っている。特に水着事業はセレクトショップ「三愛水着楽園」の全国展開や、タレントの木下優樹菜さんや菜々緒さんらが選出されたモデルオーディション「三愛水着イメージガール」の実施などによって認知度が高く、国内ファッション水着販売業では最大手である。
ワコールホールディングスによる今回の買収の主目的は、新たにファッション水着市場を事業領域に加えて顧客接点の拡大を図ることと、海外、とりわけ中国や東南アジアでの売上増である。同社は海外展開を事業戦略の柱にしており、現在20カ国に事業拠点を持つ。2013年3月期の連結海外売上高は309億円で、地域別売上高比率はアジア・オセアニアが10.3%、欧米が7.2%。この数字を伸ばすことが狙いとみられる。
中国・アジアの消費者動向に詳しいアビームコンサルティング 執行役員/プリンシパル リテール・サービスセクター長の梶浦英亮氏によると、「20代を中心とした若年層にファッション水着の需要は高まってきているものの、デザインや安さなどを重視した購入傾向にあり、特定のブランドが意識されることは少ない」という。
ただし、今後消費者の購買力が上がるにつれ、たとえ高価格であってもデザイン性や機能性の優れた日本メーカー製品への需要が高まるだろうとしている。
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