なぜ人が集まる? 2014年に人気上昇した都道府県を鉄道目線で斬る:杉山淳一の時事日想(2/5 ページ)
なぜ今年は四国が盛り上がらなかったんだ……。皆は四国へ行かずドコへ行ったのか? その手掛かりを見つけた。2014年に楽天トラベルで最も予約実績を伸ばした都道府県ランキングが発表されたのだ。さて、1位はドコだ?
2位:和歌山県
和歌山県の人気スポットは、ジャイアントパンダが5頭もいる南紀白浜の「アドベンチャーワールド」だ。2014年12月には双子が生まれて7頭になった。今年は南紀熊野が国内の地質遺産「日本ジオパーク」に認定された。また、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録から10周年。最近は富士山や富岡製糸場などが認定され、世界遺産の先輩として注目されたようだ。
鉄道ネタとしては、世界遺産登録10周年と絡めて、JRグループが9月から12月にかけてディスティネーションキャンペーン「和み、和らぐ。和歌山からはじまる旅」を実施した。新宮鉄道開業100周年イベント、ハローキティ和歌山号などのイベント列車も人気だった。京都・新大阪と南紀方面を結ぶ特急「くろしお」の一部には“パンダシート”があり、記念撮影用となっている。
2015年は高野山の開創1200年。きっと南海電鉄が頑張るだろう。
3位:熊本県
くまモンが大活躍の熊本県。2014年のトピックとして、世界文化遺産の推薦が決まった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」のうち「天草の崎津集落」が熊本にある。また、2013年末ごろから阿蘇外輪山の阿蘇市道狩尾幹線が「天空の道」「ラピュタの道」として話題になっている。熊本城も大河ドラマ「軍師官兵衛」のゆかりの地とのこと。
熊本はJR九州の観光列車の拠点でもある。話題の3カ所のうち、熊本と天草を結ぶ観光列車「A列車で行こう」が人気。阿蘇方面にも熊本駅から特急「あそぼーい」が走っている。熊本駅にはSL人吉も発着する。2013年から運行を開始した「ななつ星 in 九州」(関連記事)も熊本に立ち寄る。阿蘇駅には、ななつ星 in 九州のツアーで朝食を提供するレストラン「火星」が営業している。
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