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中国人の購買力に沸く百貨店、訪日外国人が早くも1100万人を突破追い風は円安だけではない

昨年を上回る訪日外国人の増加、中でも中国人旅行客の急増によって、百貨店は単月で過去最高となる86億円の売り上げを叩き出した。

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この1〜2年で円安の進行が著しい(Yahoo!ファイナンスより)
この1〜2年で円安の進行が著しい(Yahoo!ファイナンスより)

 円安が止まらない。11月20日午後には一時1ドル=118円台後半を記録するなど、年初から10円以上も円安が進行した。

銀座の百貨店やブランドショップには連日のように外国人観光客が押し寄せる(写真はイメージです)
銀座の百貨店やブランドショップには連日のように外国人観光客が押し寄せる(写真はイメージです)

 一方で、その恩恵にあずかっているのが海外からの旅行者だ。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2014年10月の訪日外国人数は前年同月比37.0%増となる127万2000人で、単月で過去最高となった。また、2014年1〜10月の累計は1100万9000人で、既に過去最高を記録した2013年の1036万4000人を追い抜いた。

 観光産業に詳しい野村総合研究所 コンサルティング事業本部の三崎冨査雄パートナーは、「ASEAN(東南アジア諸国連合)に対するビザの緩和やチャーター便の就航などの効果もあるが、訪日外国人急増の最大の要因は円安だ。2013年の年間平均の円ドルレートは97〜98円前後と約2割も円安が進んだ。相当の割安感が高まっている」と述べる。

経済効果は?

 訪日外国人の増加による経済効果はどうか。JNTOの調べでは、最も消費単価の高い中国人客数が2014年1〜10月の期間で201万1800人と、昨年同期比で80.3%も増えている。以前から政府は中国人観光客に対してビザ申請条件を緩和するなどさまざまな施策を講じており、中国人の受け入れ積極的だったが、伸び率では次点のフィリピンが65.4%、全体平均が27.1%なので、いかに中国人の来日が急増しているかが分かるはずだ。このことからも「(過去最高となった)2013年の訪日外国人旅行者消費額1兆4167億円を大きく超えるはず」と三崎氏は推測する。

訪日外国人による総売上高前年比(出典:日本百貨店協会)
訪日外国人による総売上高前年比(出典:日本百貨店協会)

 外国人旅行者向け消費税免税制度の改定も追い風となる。10月1日から始まった免税の新制度で、従来の家電製品などに加えて、今まで対象ではなかった消耗品(食品類、飲料類、薬品類、化粧品類など)を含めたすべての品目で免税販売されるようになった。

 既にこの効果は表れている。日本百貨店協会が発表した10月の訪日外国人売上高は約86億7000万円で、前年同月比の218.3%増、単月で過去最高の数字となった。ちょうど中国の大型連休である国慶節休暇期間に当たったこともあり、「東京の銀座や新宿を中心に中国人観光客の購買が増加した」(日本百貨店協会・広報担当)という。同協会は今後もこの伸びは続くと見ている。

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